メリットはわかった。デメリットないの?中長期的にも?

仕事で何かをやろうと思うのであれば、そこにはきっと何らかの効果、メリットがあるはずだ。
当たり前だ、メリットがなければそもそもそれをやろうとは思わないのだから。

しかし世の中のほとんどの行為には裏面、つまり副作用、デメリットが存在する。
メリットの煌びやかさに目を眩まされ、デメリットが見えなくなっていないか、常に自問したい。

事務所で靴を脱ぐ

具体例としては、事務所で靴を脱ぐ、というルールはどうだろうか。
確かに所内を清潔に保てるというメリットはある。
その反面、営業など外出が多い職種の場合、その都度の靴の脱ぎはきが面倒だ。
また、人によっては足の臭いも気になる、来客者のためのスリッパ等の用意とメンテナンスが必要といった「見えない、または見えにくいコスト」も発生している。

昔々ならば、舗装もまだ完全ではなく、道路を歩き泥水で汚れた靴で所内を歩かれては掃除が大変だ・・という理由が有効だったのかもしれない。
清潔になった現代では、どうだろう?
本で読んだ話だが、とある投資家は土足禁止の企業には投資しないそうだ。
効率を気にしない企業文化だと判断するとのこと。

切手の利用管理

次に切手の利用管理についても考えてみたい。
利用する都度、備え付けの台帳に利用者と時間、枚数を記載するという管理をしている企業もあるだろう。
ちなみに私が以前勤めていたコンサルティング会社がそうだった。

さて、切手の僅かな金額でそこまで厳密な管理をする必要はあるだろうか?
もちろんメリットはあるが、手間というコスト(デメリット)をどう考えるかになる。
月次や週次で切手の減り具合をチェックし、異常値があれば不正の可能性ありとして調査する、といった程度の管理で十分ではないか。

省エネの取り組み

省エネの取り組みはどうだろうか。電気のこまめな消灯は確かにメリットがあるのだろう。節電にもなるし、地球環境にも優しい。
しかし、調査によればこまめな消灯を行うよりも1日数分、車に乗るのを控える方が何倍ものエネルギー削減効果があるそうだ。
であれば、消灯を行うよう、社員の啓蒙活動に時間と労力を裂くよりも、自動車での移動距離が最短になるような営業ルートや仕事の仕方を考えた方が費用対効果は高いはずだ。
もちろん、消灯をこまめに行い、かつ自動車の利用を減らすのが一番効果が高いだろう。優先順位としてどちらを先にやるべきか、という話だ。

何かをやる場合に、

  • 効果(メリット)は何か、そしてどれくらいの効果があるのか
  • 副作用(デメリット)はないのか、その大きさは
  • どれくらいの費用がかかるのか。初期費用と、継続的に発生する費用
  • 効果が出るまでにどれくらいの時間がかかるのか、副作用が出るまでにはどうか
  • 他にもっと効果の高い、効率のいい代案はないのか

をしっかりと考えないと、「効果はたいしたことがないのに、見えにくいが甚大な副作用のある行為を延々とつづけてしまう」ことになるだろう。

よくある反論

こういった話をしていると、以下のような反論をされるケースがある。

「効果はゼロではない」
それはそうだろう、効果がゼロであればそもそもやってないはずだ。
問題はその効果が、かかる費用や副作用と比較してどれだけのものかということだ。
もっといい方法があるのなら、そちらに乗り換えませんか。

「精神を滋養し、人間を育てるためにやっているのだ」
精神を鍛える方法はたくさんある。他にもっといい方法があるのでは?
そもそも、最初から精神修養のために始めたことであれば話はわかるが、
最初は別の目的で始めた行為をその効果が少ないからと、精神修養が目的だと途中ですり替えるのは良くない。

一度決めたこと、始めたことを中止するのは、一貫性がない社長(や上司)だと思われるようで気が進まないのはよくわかる。
だとしたら、「時代が変わったからだ」と、世の中のせいにすればいいと思う。
ITや人工知能、新型コロナウイルスなど、理由はいくらでもあるでしょう?

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