職場と自宅の間に、九州最大の繁華街である「中洲」がある。中洲を通らないと通勤できない。
この1年の推移を見ていると、夜の街と縁遠い私ですら、感傷的な気持ちになる。
何かの歌詞だったと思うのだけれど、「夜のない世界」というフレーズがあった。
思い出したのは10年くらい前に旅したオランダでの白夜だった。夜がないというか、非常に短い。
22時すぎまで外が明るいというのは、日本では体験できない、面白いものだった。
今の状況もまた一つの「夜のない世界」なのだろう。
完全になくなった訳ではないが、かつての隆盛はそこにはない。
21時を過ぎれば人通りはほぼなくなり、食事を取ることすらままならない。
一日の半分が夜なのに、そこでの活動が制限される。
これは決して夜の街だけの問題ではない。
経済は繋がっていて、昼の街にもダメージはくる。
ちょっとだけ遅く、因果関係がわかりにくくなって。
「欲しがりません(コロナに)勝つまでは」
「進め一億火の玉(緊急事態宣言による経済崩壊)だ」
「ぜいたく(不要不急)は敵だ」
戦中のこんな標語が、あまりにも現在に当てはまるので悲しくなる。
戦争には終わりがあった。辛く苦しい終わり方だったが、少なくとも終わった。
今の「戦い」には、終わりはあるのだろうか。
達成不可能なことを目指しているように思えて、暗澹たる気分になる。