皆とランチを食べに行った時のことだ。
お祝いを兼ねていたので、少し高級なフレンチの店にした。
スタッフがまだ不慣れだったようで、運んできたオレンジジュースを私のシャツにこぼしてしまった。
見ると、こぼれたのはワイシャツだけで、ジャケットやパンツにはこぼれていない。
まあ別にいい。この後何か用事があるわけでもないし、洗濯すれば落ちるだろうし。
ちょっとくらいシャツが汚れたことが、私の人生に何か致命的なダメージを与えるわけでもない。
・・・・・実は、このワイシャツはもう捨てようと思っていたやつで、最後にもう一度使おうかなと着てきたものだった。
なので、全くダメージはない。だってこのあと帰宅したら捨てるつもりだったワイシャツなのだから。
その旨を店員に伝えると、えらく恐縮されてしまった。
どうやら私が咄嗟の機転で「捨てるつもりだった」と答えたと、好意的に解釈したようだ。
同席していた人にも「咄嗟にそう言えるのがあなたのいいところだ」と誉められたが、勘違いだ。
本当に捨てようと思っていたワイシャツだったのだ、私は事実をただ伝えただけ。
食事の後でオーナーが出てきて、「お詫びに」と、タダ券をもらってしまった。
捨てるつもりのワイシャツが高級フレンチのタダ券に化けた。
自分が持つ幸運の星に感謝はするけれど、なんだか色々と申し訳ない。
(タダ券は先日妻と一緒に使わせていただきました。次回はきちんとお金を払って食事をしたいと思います。)