意思決定の前に「歪んだ認知」を修正する

出来事そのものに意味は無い、人間がそこに意味を見いだす。

人間が出来事をどう捉えるかを「認知」と言う。
そしてその認知は、ささいな理由で歪んでしまう。

たとえば仕事で成功したとしよう。
それは「出来事」だ。

Aさんは「嬉しい」と単純に喜ぶ。
Bさんは「もっとできたはず」と悔やむ。
Cさんは「どうせ上司の成果になるだけだ」とすねる。
Dさんは「偶然うまくいっただけで、次回はダメだろう」と落ち込む。

同じ出来事でも、その認知の仕方は個々人によって大きく異なる。

認知の歪み

人間はあらゆる出来事を100%の情報をもとに判断(認知)できるわけではない。

知ることができるの一部の情報を解釈することで認知を行っている。
上述のように認知の仕方には個人差があり、誤解や思い込みなどから根拠の薄い、あるいはまったく根拠のない認知をしてしまうことがある。
これを「認知の歪み」という。
認知の歪みは、放置しておくと怒りや悲しみ、混乱、憂うつといった感情に繋がるため何らかの対処が必要だ。

いくつかの典型的な認知の歪みと、その対処法を挙げよう。

1)全か無か思考

ものごとは完璧か、さもなくばゼロ、その中間はいっさい認めない、という考え方。いわゆる完璧主義。
玉虫色の決着に我慢ならず、イエスかノーかを確定させないと気が済まない。
仕事が全体として上手くいっていたとしても、ある一部分だけの失敗で「もうダメだ」と結論づけてしまう。
世の中に完全や完璧といったものは存在しないため、現実とのギャップに常に苦しむことになる。

2)一般化のしすぎ

ひとつふたつの例を見て、「全部そうだ」と決めつけてしまう思考。
時間軸の一般化(例:「いつも」)、相手の一般化(例:「みんな」)、可能性の一般化(例:「絶対に」)などの単語がでてきたら、それは一般化しすぎている状態だ。
もちろん、科学技術などは再現性が高く、いつも・みんな・絶対に成功するものである。
しかし、こと人間がやる仕事や生活に関してはそのような「必ず成功(もしくは失敗)する」といったケースは考えづらい。
今回失敗したからといって、次も失敗するとは限らない。
当たり前のことだが、認知が歪んだ状態ではその当たり前が見えなくなってしまう。

3)感情的決めつけ

理性的、論理的な判断ではなく、感情的な判断をしてしまう。
「そんなことやっても無駄に思う、だからやらない」「いま希望が持てない、だから将来にわたっても希望がない」といった、感情を根拠にした説明にならない説明をしてしまう。

4)すべき思考

「〜すべきだ」と、自分の考え方を当然として他者に強制してしまう。
他に典型的なフレーズとして「常識だ」「まともな人間ならそうする」といった発言をしがち。
実際には価値観は人それぞれであり自分の考え方にそぐわない行動を取る人も多数居るため、常にどこかに不満感を持つことになる。また、独善的になり、差別感情に容易に転化してしまう。

5)安易なレッテル貼り

「関西人はみんなそうだ」「私はこんな性格だから」などのレッテル貼りを行ってしまう。
適切なレッテル貼りは分類や把握、思考の節約のために必要だ。ここでは「間違った」レッテル貼りのことを指摘している。
ポイントは「そう判断するだけの充分な根拠は存在するか?」。
関西人といっても奈良と神戸では全然違うし、性格は固定的なものではなく周囲との関係性によって容易に変化するものだ(例:大学デビュー)。

6)個人化または責任転嫁

ものごとの責任を自分にあると考えすぎる、逆に、自分には一切責任がないと考えることもある。
例えば「今日雨が降ったのは雨男である自分の責任」と考えてしまう。
神ならぬいち個人が天候に影響を及ぼせるはずもないのだが、過度に個人化してしまう。

ーー

特に、「いつも」「みんな」「ずっと」「絶対に」「必ず」「すべき」といったフレーズを自然に使っていないか注意しよう。
その時あなたはおそらく「認知の歪み」に陥っている。

理性的かつ論理的に考えることは面倒だし、消耗する。
認知の歪みの考え方は、単純でわかりやすいため、疲れているときにはつい歪んだ認知による意思決定をしがちだ。

最近流行の「マインドフルネス」は、認知の歪みを回避する上で有用なので、一度試して見るとよい。
道具はいらない。ただ目の前で起きていることを、感情を挟まず(認知を行わず)にありのまま捉えるだけだ。

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