「日本人は農耕民族、狩猟民族である欧米人は云々・・・」というトークに昔から疑問を感じている。
戦国時代の日本人は?
日本人(東洋人、とくくられることも)は農耕民族なので和を重んじ集団のルールに従う。
それに対して欧米人(西洋人)は狩猟民族なので個々が積極的にリスクを取りに行く、などと言われる。
ここでちょっと考えてみよう。
戦国時代の日本人は、和を重んじていたのだろうか?
歴史小説を見ると、裏切りやスタンドプレーのオンパレードで、個々の戦国武将が個性的で積極的にリスクをとっていたように見える。
逆に中世暗黒時代のヨーロッパ人(このとき米国は存在しない)は、キリスト教会の厳格なルールのもとで、和を重んじ集団のルールに従っていたのではないだろうか。
欧米人だって耕作していたはず
そもそも、欧米人だって近代までずっと狩猟民族してたわけではない。当然のように農耕をしているし、そうでなければ文明なんて生まれなかっただろう。
地域に限らず、狩猟時代を経て農耕の時代に入り、定住化→文明化という流れをたどっている。
日本人だって稲作の技術が大陸からやってくる前、縄文人は狩猟民族だったはずだ。
比較する時間軸とカテゴリーが違うのでは
これは比較対象の時間軸とカテゴリーがずれているために起きている現象だ。
江戸時代の日本の農民と大航海時代の欧米の船乗りを比較すれば冒頭の発言になるかもしれない。
しかし、戦国時代の武将と中世ヨーロッパの農民を比較すれば、話はまったく逆になるだろう。
農耕民族も狩猟民族も関係ない。
もし日本人と欧米人の一般的な性向に違いがあるとすれば、それは別の理由、おそらくはここ数十年かそこらでの文化的な評価基準の差異でしかないだろう。
ちなみに、欧米人より日本人の方が個人主義的だという研究結果もある。興味のある方は下記の本を。
こういった「通説に反する理論に触れる」のも、読書の楽しみの一つだ。