振り上げた拳は下ろしにくい

疑問を解決する、壊す

新幹線の車内で、「おしぼりを出せ」と強く主張している同世代の男性がいた。
その新幹線は新大阪発の鹿児島行き、新大阪から博多まではJR西日本の管轄で、
博多以降はJR九州が担当を引き継ぐ。
JR西日本エリアではおしぼりが配られるが、JR九州エリアである博多から乗ったその客にはおしぼりはない、と車掌が説明しても、引き下がらない。
「倉庫にあるだろう」「となりの女性(新大阪から乗車しているようだ)はおしぼりをもらっているのに」と数分粘っていた。

おそらくその男性も、そこまでおしぼりを切実を求めていたわけではないだろう。
車掌を呼び止め、当然もらえるという前提で「おしぼりちょうだい」とぶっきらぼうに言った手前、引っ込みが付かなくなったのだと思われる。
まさか断られると思っておらず、瞬間的に腹が立ったのかもしれない。

あるサービスや手続きを「してもらえて当然」と思っていると、
拒否されたときに腹が立ってしまう。
そして、一度拳を振り上げてしまえば、プライドのせいかなかなか下ろすことができなくなる。

今回の件だって「ああ、JR九州の管理区域だとおしぼりはないんだ、なら仕方ないね」と応えれば数秒で終わる話だ。
ごねたっておしぼりは出てこないし、そこまでしてもらうような価値のあるものでもない。

おしぼりにこだわる人はそう居ないかもしれないが、仕事上のささいなルールに不必要にこだわったり、それほど利益の高くない仕事を断られて落ち込んだり、部下のささいなひと言に固執したりといった経験は誰でもあると思う。本来すぐに解決することが、初動の間違いで大きな問題になってしまう。

下ろしにくい拳なら、振り上げる前に一度考えた方が良い。

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