何かを面白く思うとき、その人はすでに勝利した側にいる

心理学者チャールズ・グルナーは、
笑いとは勝利だと解釈しているそうだ。

面白さというのは、誰が何を得たのか、
誰が何を失ったのかにかかっているという。

何かが面白おかしいと感じたときには、
すでに私たちが勝利している場合が多い。

なぜなら、誰かの愚鈍さ、不器用さ、
あるいはモラルやその文化の中での
欠陥があると見なしているからだ。

ーシャーデンフロイデ リチャード・H・スミス著より引用

芸人が面白いのは、間抜けなフリをしたり、文化的に許されない行動をするからだ。
#ときどき度が過ぎて炎上してしまうけれど。

面白さと醜さ

ビジネスで失敗した人を嗤えるのは、
自分が成功したか、成功したと思っているか、
まだ失敗はしていないと思っている人、
つまり、失敗した人よりも精神的に上位に居る人だろう。

面白さはときに、人間の醜さをあからさまに見せつけてくれることがある。
水に落ちた犬を叩くのは、道徳的には問題があるかもしれないけれど、
とても気持ちの良い行為であることには違いない。
なにせ「勝利している」のだから。

インターネットをちょっと巡回すれば、
嬉々として赤の他人を叩いてる人を
いくらでも見つけることが出来るだろう。

善や悪の話ではない

ここで私はモラルや道徳について説教をたれたい訳ではない。
プラグマティストである私はこう考える。
人はそういう生き物で、これからもずっと変わらない。
なので、それを前提として自分の行動を決めていかねばならない。

性悪説だと眉をひそめるだろうか?
しかしこれは善や悪の話ではない。
進化心理学などの研究で証明されつつある、人間の特性なのだ。

冷たい奴だと思うだろうか?それも違う。
こうあるべき、という理想を語るにしても、
こうである、という現状からスタートしなければ、
間違ったゴールにたどり着いてしまうからだ。
つまり、人間的に熱い冷たいといった問題でもない。

そもそも、現状認識をせずに理想だけを語るのは、熱い奴ではなく、ただの夢想家だろう。

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