その即興はジャズに似て(経営相談)

中小企業基盤整備機構の依頼で、
「合同アドバイス会」のアドバイザーを
させていただきました。

この会は、中小企業基盤整備機構(以下、中小機構と略す)が所管する、
「新連携」や「地域資源活用」といった制度の
認定を受けられた企業を対象に、
契約やWebマーケティング、
販路開拓といった各分野のプロが
アドバイスをするというものです。

営業力強化というフリースタイルジャンル

私が担当する分野は「営業力強化」という、
対象範囲が解釈次第でどこまでも広がる、
いわばフリースタイル、階級無制限、異種格闘技戦、
のようなものでした。

相談内容についてはここでは話せませんが、
人材教育からマーケティング、IT活用まで多岐にわたる
内容について議論しました。

なぜ私にこの依頼が来たのかはわかりませんが、
これまで業種・内容問わずさまざまな企業の
相談を受けてきた経験がフルに活かせたと
思っています。

相談者のひとりが中小機構の担当者に
「このような会は今後も開催されるのですか?」
と質問していたのが印象的でした。
事業計画を作り、国の認定をいただけるような
先進的・積極的な企業でも、
実際の事業化段階でさまざまな悩みを
抱えていることが多いのでしょう。

専門家の腕はまだ短く、必要なところに
きちんと届いていないのかもしれません。

短い時間でどう結果を出すか

このイベントに限らず、
公的機関を利用した経営相談は、
回数も時間も限られますし、
事前に知らされる情報もごくわずかな
ことが多いです。

他の団体からの依頼だったのですが、
会社名と「新規事業の計画作りを希望」と
ひと言だけ書かれた依頼書が来ることも。

今回は1社あたりの割り当て時間は45分でした。
45分の間に、会社の概要や悩んでいることを伺い、
不足分は仮説を組み立てつつ確認し、
信頼関係を築きつつ、
経営者に満足してもらえるようなアドバイスをする。

中小企業診断士の試験やその後の仕事で学んだ
フレームワークや思考法、心理学の知見などが
役に立つ場面です。

予想が外れることもあります。
アドバイスをしても、
「そんなことはとっくにやったよ(でも効果なかったよ)」
とあきれ顔で言われることも。

それならば、と、次の案をぶつける。

または、「表面上はやったのかもしれないが、
 細かい部分の設計がまずかったために
 効果がでなかったのでは?」
という主旨のことを、相手に不快感を与えないよう
注意しながら伝える。

専門用語(経営学やITには多いですよね)は使わず、
平易な言葉に言い換える。使うなら説明を補足する。

経営相談窓口で自分を鍛える

話はずれますが、中小企業診断士は
公的機関の窓口で経営相談を
受け付けることがあります。
#報酬が出るケースと出ないケースがあります。

私も独立初期に、福岡市の経営相談窓口を
やらせてもらっていました。
この経験は、経営コンサルタントとして
必要なコミュニケーション能力、ヒアリング力、
瞬発力や知識の実践での活用能力といったものを
鍛える良い「修行」になりますので、お勧めです。

もちろん、相談者の質問に対して
適切な回答をできるだけの知識を
持っていることが前提です。
遊びや練習ではないので。

経営相談はジャズに似て

アドバイザーの能力があればいい相談会になる、
というわけではありません。

相談者も積極的に情報を開示し、
議論に参加してくれてこそ、実りある時間となる。

ジャズにおける即興演奏のようなものです。

どんな奏者・楽器と対面しても、よい演奏ができるように、
経営コンサルタント(中小企業診断士)は、
技術と道具を常に磨き続ける必要があります。

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