「真摯」と「断定」の両立

物事を学べば学ぶほど、「断定できることは極めて少ない」ことに気づく。

何かを断定できる人は、その分野について知識が少ないか、
もしくは誰かを騙そうとしているなど明確な意図を持ってそうしているかの
どちらかだ。

士業などの専門家が奥歯にものの挟まったような物言いでしばしば批判されるのは、
自身の専門分野においては、何ごともケースバイケースであることをよくわかっているからだろう。

ほとんどのことには、例外がある。

断定に人は惹きつけられる

ところが、そのような真摯な態度は、ビジネスではあまり評価されない。
健康食品のCMを見てみるといい、法に触れない範囲で、いかに物事を断定するか、
もしくは断定していると誤認させるかに心血を注いでいるのがよくわかると思う。

効能は個人差があります、という文言は、真実ではあるのだけれど、
それを大きく謳えば誰も商品を買ってくれない。
とはいえ決まりなので、仕方なく画面の隅に小さく表示している。

ほとんどの人間は、完全なる自由に耐えられない。
誰か、自分よりも優れた人間に決めて欲しいと思っている。

人は、真摯だが予言なき解説者よりも、予言ある扇動家を選ぶ

ー 思考停止ビジネス 阪口孝則著

専門家として真摯であろうとすれば、断定はできないし、
断定しなければ、ビジネスとしての成功はおぼつかない。

もちろん、両立の可能性はゼロではないけれど、困難な道ではあると思う。
自分で選んだ道なのだから、仕方がないのだが。

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