母集団は何個?「少数の法則」

数字、数学、パズル

他者に何かをアピールするのであれば、できるだけ具体的な数字を使った方がよい。

「みんな認めている」「たくさん売れている」といった曖昧な表現ではなく、「アンケート調査の結果90%の人が選んでいる」「10万箱突破!」と数字で示した方が信頼度が増すだろう。
自分が情報の送り手であれば積極的に使うべきだ。
しかし、自分が情報の受け手に回った際は、その数字の根拠に関しては疑ってかかった方がよい。

90%の人が選んでいるというとさもすごい商品のようだが、アンケート調査は果たして何人におこなったのだろうか?
10人なのか10,000人なのかでその印象はおおきく変わるだろう。
また、調査対象者の質も問題になる。アンケート調査にわざわざ回答するような顧客は、商品を好きである比率が高いと想定され、実際の数字よりも高めの結果が出る可能性が高い。

10万箱突破、と言われるとみんなが商品を買っているように思える。しかし、これは年間の数値なのか、月間の数値なのかが明示されていない。もしかしたら、発売後20年でやっと到達した数字かもしれない。極端な話をすれば、ひとりで5万箱以上購入しているヘビーユーザーが居るかもしれない。

以前こういうことがあった。
某団体が企画した経営やマーケティングのセミナー、一回目は参加者が5人だった。
二回目が開催されるということで当社にセミナーチラシが送られてきた。それを見ると、前回受講者の満足度76%!と表記されていた。
私は前回の参加者が5人であることを知っていた。5人しか参加していないのであれば満足度は20の倍数になるはずで、76%という中途半端な数字が出ることを不思議に思った。
事務局に近い知り合いがいたので彼経由で確認したところ、5段階評価をしてもらい、それを合計して総数で除算したとのことだった。

例示するとこういうことだ。(実際の数値は不明なので、説明のためにこちらで数字を作っている)

この計算方法は明らかに誤認を誘うものだ。5段階評価で1、つまり不満足と評価をしたのに、それすら満足度を4%上昇させてしまうことを考えればその誤りは明白だろう。
通常の計算方法だと満足度が40%にしかならないので、苦肉の策でこのような計算方法を採用したのだと思うが・・・経営に関するセミナーでこれでは、残念ながらその内容も疑わざるを得ない。

一般に、データの数が十分でないのに過剰に一般化してしまう人間の傾向を「少数の法則」と呼ぶ。
最後の例を見てもわかる通り、数字をその計算の根拠まで確認せずに盲目的に信頼すると、意思決定を誤ってしまう。

最低でも、母集団データ、つまり分母の数が十分にあるかどうかのチェックは怠らないようにしたい。

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