メニュー構成は松竹梅の三コースを用意しろ、というのは定番のアドバイスです。
- 牛丼(並) 500円
- 牛丼(上) 800円
のメニューなら、「並(500円)」が選ばれるのに対し、
- 牛丼(並) 500円
- 牛丼(上) 800円
- 牛丼(特上)1,200円
と、メニューが3つになれば、真ん中の「上(800円)」が選ばれやすくなります。
経営者から見ると、価格の高い(一般的に利益率も高い)コースが選ばれやすくなるメリットは大きいでしょう。
他の例を見てみます。(自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス) 池谷 裕二著)より抜粋)
紙とウェブで展開する新聞紙があります(日経新聞なんかはそうですね)、購読のためには3つのコースから選ぶ必要がありますが、実際に予約した人が多いのは次のどの選択肢?
- ウェブ購読のみ 5,900円
- 冊子購読のみ 12,500円
- 冊子とウェブのセット購読 12,500円
84%は選択肢3、つまり冊子とウェブのセット購読を選びました。冊子を購読するならウェブをつけてもつけなくても同じ値段だから、2よりも3の方がお得です。
では、選択肢2を取り除くとどうなるでしょうか?
- ウェブ購読のみ 5,900円
冊子購読のみ 12,500円- 冊子とウェブのセット購読 12,500円
この場合、3を選ぶ人は32%に減り、半分以上の人は1のウェブ購読のみを選択したようです。
つまり、選択肢2は一見意味がない(お得ではない)が、その選択肢のあるなしが選択結果に影響を及ぼしているということです。
前述の料理メニューで言えば、
- 牛丼(並) 500円
- 牛丼(上)
- 牛丼(特上)1,200円
と、上と特上の値段を同じにしたらどうなるでしょうか?試してはいませんが、もしかしたら「並」ではなく「特上」を注文される方が増えるかもしれませんね。
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ちなみに、おとり効果を説明するのに「人と同じ行動を好む日本人だから云々」という謎の理由は必要ありません。
元ネタは海外の論文ですし、海外のブログでも紹介されています。どうやら、人間全般に見られる傾向なようです。