受講したセミナー(一般の経営者向け)で、講師がこんなことを言っていました。
マーケティングのロジックを組み立てることが重要です。
私は苦笑してしまいました。自分の若い頃を思い出したからです。
横文字や専門用語はかっこいいけど、意味が通じないことがある
横文字や難しい言葉を巧みに使いこなし、講演や議論を行う。いかにも専門家らしくてかっこいいですね。
SEをやっていたころは私もそんな感じでした。「プロプライエタリ」やら「ロバスト」やら、それ日本語でもいいじゃん、って単語を得意げに使っていた記憶があります。(いま考えると恥ずかしい)
ある打ち合わせで「そういう解釈をする方も居るかもしれませんが、マイノリティですよ」と発言したところ、
後で営業さんから「マイノリティ・リポート(トムクルーズ主演の映画)しか頭に浮かばなかった」と言われました。
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コンサル時代に、上司から「デューはいつなんだ!」と言われ、デュー???芸人の一発ギャグか何かか???
と困惑したのを覚えています。(Due、締切ですね。日本人しかいない会社なんだから、締切、でいいじゃん・・・・)
伝わらなければ、意味がない
冒頭の「マーケティングのロジックを・・」の人が伝えたかったことは、セミナーの受講者にきちんと届いていたでしょうか?
全員MBAとか、中小企業診断士向けとか企業のマーケティング担当向けのセミナーならいざしらず、地方の中小企業の経営者が受講者です。
少なくとも私が感じた周囲の雰囲気からは、講師の言いたいことは受講者に伝わっているようには思えませんでした。
横文字、専門用語を使えばプロっぽく見せることはできます。権威付けにはいいでしょう。
専門家ならいつも使っている言葉なので、自然に口から出てくる、というのもよくわかります。
ただ、目的は相手にこちらの主張を伝える事です。
目的に立ち返り、受講者の属性を考えれば、いまは横文字を使うべきではない、とわかるはずです。
専門用語が役に立つケース
もちろん、専門用語をふんだんに使った議論が役に立つケースはあります。
それは、相手も専門家だった場合です。
先日、ある大学の教授と自治体の広報戦略について打ち合わせをする機会がありました。
3時間ほど激論しましたが、横文字、専門用語をふんだんに使って熱く実りのある議論ができました。
わかっている方同士が横文字・専門用語で議論することは、相互理解を早める効果があります。
横文字を濫用する方と意義のある打ち合わせをする秘訣
簡単です。こう質問してください。
「いまの言葉を日本語(他の言葉)で言い換えたら何になりますか?」
うまく回答できる方は、その横文字・専門用語をしっかりと理解できています。
そうでない方は、生半可な知識で適当にその言葉を使っている可能性があります。
冒頭の方の発言で言えば、「売上の上がる理由を順序立てて、納得できるように組み立ててください」で充分です。
ニュアンスは多少変わるかもしれませんが、少なくとも受講者や議論相手を置いてけぼりにはしないでしょう。