あたりまえだが、人は皆、現在の時間に生きている。
ごく自然に考えていくと、視点はどうしても今現在の自分の立ち位置からのものにならざるを得ない。
そこで、敢えて視点を過去や未来に移動させてみよう。もちろん、あくまでの頭の中の話だ。
自分は果たして、ずっと昔からいまと同じような視点で物事を見つめていただろうか?
ここは慎重に考えなければならない。
なぜなら人間は過去の記憶を都合のいいように改ざんすることが得意だからだ。
一貫性のない人間は信用されない。
一貫性を維持するために、自分は昔から今と同様の考え方だったと思いたくなる。
それをぐっとこらえて、真実を見つめてみよう。
じっくり考えてみると、過去の自分はそうは思っていなかったことがわかるのではないか?
学生時代の自分の考え、社会人初年度の自分、結婚した自分、子供を持った自分・・・・・
状況により視点はいくらでも変わりうる、ということに気づく。
次は、視点を未来に動かしてみよう。
未来、たとえば1年後の自分は今と同じような視点を持っているだろうか?
物事の定義は容易に変わりうる。
何が正義かですら時代により移り変わるもので、不変の真理ではない。
自分が絶対だと思っていた現在の視点は、あくまで現在の条件の中での暫定的なものに過ぎないことがわかるだろう。
このように視点の「時間軸」を動かすことで、現在の価値観にとらわれず、より多面的な視点でものごとを理解できるようになる。