イニシャルコストはかからないけれど

経営コンサルタントは、スマホとパソコンさえあれば開業できる、と、よく言われる。
これは真実で、私も12年前に起業した時に持っていたのはiPhone3GSとMacbookだけだった。
能力のある人ならこれだけでもすぐに仕事がとれて儲かるのだろうが、
私にはそれほどの能力も人脈もなかったので、ホームページを作ったり名刺を作ったり、固定電話をひいたりとそれなりの準備をした。
とはいえ費用はせいぜい数千円から数万円程度。
ちなみに、最初から事務所を借りるだけの資力はなかった。

話はずれるが、勤め先を辞めて起業するといったら「そもそもお前が10年もサラリーマンでいられたのが不思議」と、
開業資金をポンと与えてくれた父親には非常に感謝している。(その資金はあっという間に無くなってしまった)

コンサルティングに必要な情報や資料は、インターネットを検索すればすぐに入手できる。こちらもコストはかからない。
とはいえ、無料で手に入れられる情報にはそれほど価値はない。同じ情報をクライアントも簡単に見つけることができる。

同じ情報でも、その解釈や整理などで「さすが経営コンサルタント!」と感嘆されるようなアウトプットを出すことはできるだろうけれど、それだけでは他社との差別化はおぼつかない。
当たり前だけど、経営コンサルタントだって競争しているのだ。

いい情報を手に入れようと思ったら、お金がかかる。例えば業種別審査辞典はクラウド版で20万円する。
民間が出している**白書の類いは10万〜20万だ。リファレンスサービスも数十万円。
クライアントの業種ごとに専門誌や技術書籍の類いも山ほど買和なければならない。

業務効率化のソフトウェアもなかなか高い。セールスフォース、オフィス365、ドロップボックス、GSuite・・・
クラウドサービスは人数が増えれば支払う金額も増えていくのが辛い。
TableauやThink-Cellなど、データ分析やプレゼンを効率化するソフトも購入しなければ、効率的に業務をこなすことは難しい。

経営コンサルタントという仕事を始めるのに、イニシャルコストは確かにかからないのだが、
他社と差別化し、いい仕事をしようと思えば、ランニングコストは青天井だ。

過去の資産で食べていくのはもちろんだが、新しい知識も積極的に仕入れていかなければ、先細りするだけだ。
リーンキャンバスなどの新たな手法を何も学ばずに、診断士試験で学んだSWOT分析やファイブフォース、バリューチェーンの話を繰り返しているなら、最前線で戦い続けることは不可能だろう。
(これまた余談だが、ミンツバーグの「戦略サファリ」にSWOTやファイブフォースの問題点が整理されているので、診断士なら一読をお勧めする)

新しいことを学ぶのが苦にならないのでなければ、この仕事を続けるのは難しい。

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