主語はなるべく小さく

シンプルなままにしよう

主語が大きくなればなるほど、その主張は無責任になります。

ネットスラングで「太宰メソッド」と言われています。
太宰治の小説「人間失格」のあるシーンでの会話から名付けられました。

「(中略)これ以上は、世間が、ゆるさないからな」
世間とは、いったい、何のことでしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木に言われて、ふと、
「世間というのは、君じゃないか」
という言葉が、舌の先まででかかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。
(それは世間が、ゆるさない)
(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
(そんなことをすると、世間から酷い目に遭うぞ)
(世間じゃない。あなたでしょう?)
(いまに世間から葬られる)
(世間じゃない。葬るのは、あなたでしょう?)

世間が、常識が、うちの会社が、被災者が、みんなが・・そう言っている。
本当でしょうか?世間とは、みんなとは誰なのでしょう。誰がそう言っていて、誰が言っていないのか。全員が同じ意見だと言い切れるわけがありません。

主語を大きくすれば、自分の主張ではなく全体を代弁しているようにみえます。その言葉を発したことで発生するであろう、主張を証明する責任を回避できます。
しかし、そのほとんどは、「わたしはこう思っている」を言い換えているだけにすぎない。

「個人的な意見を言っていいですか?」
「あらゆる意見は個人的なものだ」
ー森博嗣の小説より

#もちろん、全体の意見を代弁するケースもあります。
#たとえば私は業界団体の理事をしていますが、状況に応じて、
#個人としての主張を抑え、理事としての発言をすることがあり得ます。
#すべての主張の主語が「わたし」になるとは限らない。

日常的に、なるべく主語の範囲を小さくするように心掛けています。
個人としての発言なのか、株式会社フロウシンクとしてなのか、(役員を務める)株式会社VIコンサルティングとしてなのか、中小企業診断士として、ある会社の顧問として、団体の責任者として・・・明確に主張するようにします。
「世間」や「常識」という言葉を主語にすることは絶対にしない。

主語はなるべく小さく使いましょう。
主張を証明する責任から逃げないこと。
あなたの意見は、必ずしも全体を代表するものではないのだから。

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