パソコンは、複数の作業を同時並行でこなしているように見える。
実は、同時並行ではない。パソコンは一度にひとつの作業しかできない。複数の作業が同時に進んでいるように見えるのは、短い間隔で作業を高速に切り替えているからだ。
#マルチコアやハイパースレッディングの話をするとややこしくなるので、ここではシングルコアのCPUの話とする。
人間の脳も同じだ。複数の作業を同時並行で進めているように見えても、脳はひとつだ。作業を細かく切り替えながら進めることで擬似的に複数作業(マルチタスク)を実行しているように見えるだけだ。
この手法の問題点は、切り替え時間がかかることだ。IT系の用語では「コンテキストスイッチ」と呼ばれる。
一説によれば、電話による作業の中断から元に戻るには15分程度の時間がかかるとか。
工場の稼働率を上げるためには、「段取り替え」と呼ばれる治具の交換や設置にかかる時間を削減することが重要となる。これはつまり、コンテキストスイッチの時間を如何に減らすか?に苦心しているということだ。
パソコンも工場も、人間の脳も同じだ。
複数作業を同時に進めることは、一見効率的に見えるけれど、実はコンテキストスイッチの時間分だけ非効率なの
だ。
解決策
解決策は、複数作業ができるという意識を捨てること。
コンテキストスイッチの時間を最小化するために、作業はなるべく一つにまとめて処理する。
作業にかかる時間を見積もって、その作業を完了できるだけのまとまった時間を確保する。
電話やメールなど、集中を邪魔する要素は極力排除する。
複数作業を同時にこなす人は仕事ができるように見えるが、実際には非効率な作業を高速に行っているだけだ。
シングルタスクを意識するだけで、その人の生産性は更に上がるだろう。