野中郁次郎は、日本企業の問題は「3つの過剰」にあると言った。曰く、「オーバー・コンプライアンス(過剰な法令遵守」、「オーバー・プランニング(過剰な計画)」、そして「オーバー・アナリシス(過剰な分析)」だ。これらが日本企業のチャレンジ精神を萎縮させていると。まさにその通りだ。
個人情報保護のため・・というセリフが、法令に基づいた行動ではなく単に情報を出すのがめんどくさいから出さないための言い訳として用いられるようになって久しい。個人情報保護のために、誰も読んでいない契約書の作成やサイン、データの匿名化など、不毛な作業を強いられる。これなどもオーバー・コンプライアンスの一例だろう。ちょっと前なら「たったそれだけのことで?」と思われるような理由で社会的な地位を失う人もこの過剰な法令遵守が原因の一つかもしれない。違法または倫理観を疑うような行為が適切に罰せられるようになったのはある意味で社会の進歩だとは思うが、世間の声に過剰に反応しすぎだとも思う。一般消費者向けの商売とか、株価を意識する上場企業とかは仕方ないのかもしれないけれど。
オーバー・プランニングやオーバー・アナリシスについては、そもそも計画作りや分析が仕事の一部である経営コンサルタントとしては耳が痛い話だ。ただ、自分の会社を経営するにあたり、計画や分析は最低限にして、状況に応じて柔軟に対応していこうと考えているのは、計画や分析の過剰さが害であることを無意識のうちに自覚していたからかもしれない。コンサル会社時代にクライアントのため、それはもう精緻な計画を作ったものだが、あの計画の作成とメンテナンスにかけた時間と労力に見合う効果があったとは思えない。
生成AIにお願いすれば、計画や分析をサクッと作ってもらえる時代だ。野中先生が指摘したこの3つの「過剰」は、意識して排除していく必要がある。そうしなければ、今後もますます企業に蔓延り、蝕んでいくだろう。
「過剰」がダメなのであって、適切な法令遵守、計画、分析が有効なのは言うまでも無い。














