ものごとは劇的には変わらない。
「絶対に」ではない。
戦争や災害が状況を大幅に変えてしまうことはある。
しかし、そういった特異なケースを除けば、
仕事の能力、試験の成績、ダイエット・・・どれを見ても
劇的に変わることがないことばかりだ。
劇的に変わると主張する人がいるのであれば、
単なる無知なのか、
あなたを騙そうとしているのかのどちらかだと思う。
洗脳系の新人研修を受けても、何も変わらなかった
社会人なりたてのころ、
社員研修がいわゆる「洗脳系」の合宿だった。
筆者はもともと洗脳のスキルなどに興味があり、
#ちょうど、オウム事件が世間を賑わした数年後だった
ある程度関連分野の知識があったので、
鬼軍曹の演技をする人事部の先輩方を醒めた目で見ていた。
しかし、その分野の知識のない、
素直な同期の男は完全にキマッていた。
最後は感動の涙すら流していた。
「事前知識がなければ、簡単に効果が出るものだなあ」と感心したのを覚えている。
翌週の出社日、劇的に変わった彼がそこにいた。
元気なあいさつ、きびきびとした動き・・
しかし、その効果は1週間も持たなかった。
日常に戻れば、過去の自分に引き戻されてしまう。
#オウムや自己啓発系セミナーは、
#人間関係を切り過去の自分と決別させる
#ことで洗脳を継続させている。
こういった劇的な方法を取ることにはもちろん副作用がある。
先日、同じようなセミナーを受講した大企業の社員が自殺したというニュースがあったが、
あれなど副作用の最たるものだろう。
改革ではなく改善を
当社のテーゼの一つに「改革ではなく改善を」というのがある。
大きな改革はインパクトも強いし、関係者への受けもいい。
ただ副作用も激しい。改革を威勢良く主張する者は、その副作用については見て見ぬふりをする。
そして、副作用は数年後、数十年後にやっと現れることもある。
改革者が多額の報酬をもらい、その会社を去った後に。
ものごとは、少しずつしか変わらない。
わずかな変化を継続できるかどうか、それが遠い将来の企業の盛衰を左右する。
当社は、中小企業の経営者にたいして、
一発逆転のチャンスを狙える過激な手段を勧めるよりも、
足元のささいな改善を積み重ねていく手伝いをしたいと思っている。