20年くらい前、音声入力がある程度実用化した頃。未来のオフィスからはキーボードはなくなり、社員は皆パソコンについたマイクに向けてボソボソ喋って入力する時代が来るだろうと言われていた。そんな時代は来なかった。音声入力の精度は当時とは比べ物にならないほど良くなったが、人はいまだに、本来であれば効率的でないQWERTY形式のキーボードを使ってちまちま文字を入力している。
なんでこんなことを書いたかというと、現代におけるメタバースがそうなのではないかと思ったからだ。皆が「これが未来だ」と期待したが、そんな未来は来なかった。職場でVRヘッドセットを装着して仕事をする人を、自分以外に見たことがない。より実用的でわかりやすい生成AIの登場により、誰もメタバースの話をしなくなった。
メタ、AI精鋭そろえ「超知能」に傾倒 メタバース11兆円損失で焦り – 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN081WY0Y5A001C2000000/
鳴物入りで始まったANAのメタバースももう終わってしまった。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/forum/siryou/3-2.pdf
技術の未来を予測するのは本当に難しい。IT業界で最高に頭がよく所得も高い連中が集まっているだろうメタ社(フェイスブック)ですらそうなのだから、一般人たる我々には不可能だ。一つの技術の未来に会社の経営資源を全投入するようなリスクの高いことをすべきではなく、浅く広く構えておくのがいいのだろう。















