本屋か自転車屋になりたかった。

本棚

小さい頃、本屋か自転車屋になりたかった。
どちらも、当時(今も)自分の好きなことだったからだ。
趣味を仕事にする。今風に言うと「好きなことで生きていく」。
なんて素晴らしい人生だろう。

しかし、大人になった私は結局どちらにもなれなかった。
大学では経済を学び、IT業界にエンジニアとして就職し、
中小企業診断士の資格を取ってコンサルとして独立した。

もし自分が本屋や自転車屋として起業していたら、
事業で成功できただろうか?よくわからない。
両方とも、ネットの隆盛により中小企業は厳しい状況に置かれている。
かなりの才覚がなければ、成功はおぼつかないと思う。
自分にそれができるだろうか?
よく言われるが、経営コンサルタント(中小企業診断士)としての能力と、
経営者としての能力は少し異なっていて、良いコンサルが良い社長に
なれるとは限らない。
#自分が「良いコンサル」なのかどうかはよくわからないが。

本屋になって、店番をしながら好きな本を思い切り読むという夢も、
自転車屋になって、好きな自転車の整備をひたすらやるという夢も実現しなかった。

けれど、経営コンサルタント(中小企業診断士)として得たささやかな収入で好きな本を買い、
子ども時代や貧乏な学生の頃にはとても手が届かなかった高級な自転車を(ローンで)購入している。

好きなこと「で」生きていくことはできなかったけれど、
好きなこと「を」やりながら生きていくことはできるようになった。
今の人生に、十分に満足している。

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