予測できるか、コントロール可能か

ストレスというのは毒にもクスリにもなる。
適度なストレスのある環境下の方が人は成長するし、気分も良い。
ストレスのまったくない環境だと人は怠けてしまう。
少なくとも私はそうだ。仕事の締め切りがなければ、ずっと本を読んで日がな一日暮らす自信がある。

では、「適度な」ストレスとはなんだろうか?
どうやってそのストレスが「適度」であるかどうかを決めれば良いのか?
ポイントは「予測できるかどうか」、そして、「コントロールできるかどうか」だ。

予測できるかどうか

どのタイミングで、どれくらいの分量の仕事が来るのかがある程度予測できれば、それに備えることができる。
親族の不幸や交通事故が大きなストレスを生むのは、そのことを予測できなかったからだ。

仕事もルーチンワークがほとんどで明日やる内容が決まっていれば「予測できる」作業であり、それほどストレスにならない。
クレームなどのトラブルは「予測できない」ゆえにストレスだが、恒常的にクレームを受けるような企業であればそれは日常になりストレスは軽減されるだろう。(現実的には、その前に心が折れて退職する人がほとんどだろう)

コントロールできるかどうか

ストレスに対してどう対応するかを自分で決定できる(コントロールできる)のなら、やはりストレスにはならない。
自分ではどうしようもない、何も決めることができない、と考えればそれは大きなストレスになり、自己を蝕む。

会社で出世すればするほど、コントロール可能な領域が増えるのでストレスは減る。
ただ、予測不可能な事態、前例のない事態への対処は上役になるほど増えるだろうから、プラスマイナスでどうなるかはその人の置かれた状況次第ではあるが。

自営業やフリーランスが(貧しかったり高リスクにさらされていても)、一般的に幸福そうに見えるのは、コントロールできる範囲が100%に近いからだ。
もっとも、売上シェアのほとんどを一つの企業に依存してしまえば、その企業にコントロールされることになりストレスは上昇するだろう。

予測可能性を高め、コントロール可能な範囲を拡張する

逆に言えば、予測できず、自分でコントロールできないストレスを避けるのが望ましいということだ。
たとえ平社員でも、仕事に慣れ、業務内容を体系化することで予測可能性を高められる。
スキルアップと信用を得ることで、任せてもらえる、つまりコントロールできる範囲を拡張できる。

将来の予測可能性を高めて、コントロールできる範囲を増やす。
それが適度なストレスとともに成長する秘訣だ。

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