貢献の範囲、社会の範囲

企業はつとに「社会貢献」を求められる。
もちろん貢献したい、自社の活動のおかげで世の中が少しでも良くなるのだとしたら、こんな嬉しいことはない。

しかし、社会というのはそんなに単純じゃない。全員が幸せになることは、ほとんどない。
もし「ある」ように見えるとしたら、それは視野が狭いか、中長期的に考えていないか、もしくは意図的に特定のグループを無視しているか。
どこかの範囲の社会が良くなれば、別のどこかの範囲の社会が悪くなる。

当社には経営理念はない。最近はやりの「パーパス」なるものもない。
大企業ならともかく、中小企業が何か社会に貢献できる程度なんて、ほんのささやかなものだと知っているからだ。
そしてそれができるのは十分な利益があるからこそで、経営が傾けば、社会貢献などと言ってられなくなる。

私と、私の会社にできるのは、社員と取引先と、その周囲の本当にわずかな人たちを少しだけ幸せにする手助け、その程度だ。
世界を変えることはできないし、遠い国の知らない誰かを救うことも、より良い社会を構築することも、できない。

できないことを宣言して社員にやらせようとするなら、それは夢想家か狂人の類いだ。
できないことをわかっていてそれでもその標語を掲げるのなら、嘘つきか詐欺師の類いだ。
そして、当社にはそんな空疎な理念なるスローガンに踊らされるような阿呆は一人もいない。

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