部下に考えさせるなら、上司は答えを用意していなければならない

アイデアがまとまる

これは自分が若い頃のエピソードだ。

非常に困難なプロジェクトだった。正直何から初めていいのかわからなかった。
そのプロジェクトは上司と私の二人体制で進めていた。
上司から「まずは自分で考えろ」と言われ、この局面を打開する方法は何か?と頭から湯気が出るほど考えた。

でも、案は出なかった。正確には、案は出たけれど問題解決の為には役不足なものだった。(これを案Aとしよう)

上司にそのことを相談すると、彼は烈火のように怒った。
もっと考えろと。
だが、自分の能力の限界まで考えて、正直これ以上何をどうしたらいいのか、当時の私は袋小路に迷い込んでいた。
#今ならまた違ったアプローチも思いつくが、当時はまだ経験不足だった。

上司にヒントだけでも教えて欲しいと懇願したが、「甘えるな」と拒絶された。

締め切りが無情にやってくる。しかし、案A以外のB,Cはまったく出てこない。

上司はひとしきり私の能力不足をなじった後、「もう俺が引き取る」と言った。
私は申し訳ない気持ちで一杯になりながら、上司の作る報告書の到着を待った。
上司の報告書が届いた。ファイルを開くと、そこには、私が最初に出して否定された案Aが、薄っぺらい内容で書かれていた。
しかも、私が指摘した案Aのデメリットは、まったく記載されていなかった。

なんのことはない。上司も答えを持っていなかったのだ。


部下に考えさせる、コーチングという行為は良い事だと思う。
しかしそれは、上司が考えなくてもよい、ということを意味しない。
部下が困った時に助け船を出せるように、上司は部下よりも広く、深く考え、自分なりの答えを用意しておかないといけない。
コーチングは、上司がラクをするためのものではない。

上司も答えがわからないのなら?簡単だ、部下に、「俺もわからないから、一緒に考えよう」と伝えればいいのだ。
そうしたくないのなら、それはプライドが邪魔していることを自覚しよう。

部下に考えさせるのなら、上司は答えを用意しておこう。
答えを用意できないなら、一緒に考えよう。

プライドが邪魔しなければ、当たり前の行為だと思うのだが。

関連記事

  1. 日本マンパワー インタビュー転載

  2. ふくおかIST IoT推進コーディネータに就任

  3. まずは寝よう

  4. 平成30年度 中小企業施策利用ガイドブック(PDFダウンロード可)

  5. スタッフ2名増員

  6. 初期条件でのささいな違い(プラスのフィードバック)

最近の記事

  1. バックアップ、プランB

    2024.04.23

    雨が降っても
  2. 2024.04.15

    メンテナンス

読書記録(ブクログ)