ホワイトボードと経営コンサルタント

筆者は、サラリーマン時代にシリコンバレーに出張しグーグルの本社で打ち合わせをしたことがある。社内見学もセットだった。
ホワイトボードがいたるところにある環境に感動し、クリエイティブな企業はこうあるべきなんだ!と強く印象に残った。

ミーハーな筆者は、それから重度のホワイトボードマニアになってしまった。
帰国後、自己負担で机の横に「マイホワイトボード」を設置して上司に煙たがられていたのもいまでは良い想い出だ(上司にとってはどうかわからないが)

昨年末に事務所を引っ越したのだが、壁の一部に特殊な塗料を塗布してホワイトボードにしている。
玄関前のパーティションもホワイトボードになっている。
写真には写っていないが、自分のデスクの横にもホワイトボードを設置し、ホワイトボードマニアとして理想の事務所を作ることができた。

図1

東京でIT関係の仕事をしている筆者の義弟いわく、大手自動車会社の会議室も壁面すべてがホワイトボードになっているそうだ。

ホワイトボード活用のメリット

経営コンサルタントとして様々な会社の会議に参加して、会議室にホワイトボードがあるかないかで会議の生産性が大きく変わると実感している。

以下、私の考えるホワイトボードの利点を列挙する。

1)議論の見える化

最大のメリットは、いま何のことを話しているのかを、会議の参加者全員で共有できることだ。
口頭での説明だけでは、話を聴いていない人、いまどこを読んでいるかがわからなくなり、そのまま理解を諦めてしまう人が発生する。

しかし、ホワイトボードにいまの議題をしっかりと書き、会議で出てきた意見を書き留め、
場合によっては図表やイラストを駆使することで、議論を見える化することができる。

見える化ができれば、会議の理解度や満足度の向上に繋がる。
しっかりと理解でき、内容も納得いくものであれば、会議で決定した内容を実現するための行動も素早く、正確に行うことができるだろう。

2)広い視野をもって議論ができる

ホワイトボードは、書くことのできる面積がA4やA3のコピー用紙などに較べて広い。

思考は、書く領域の広さに制限を受ける。
逆に言えば、書く面が広ければ、それだけ広い視野をもって議論をすることにつながる。

筆者はA4サイズのホワイトボードを持っている。
しばらく利用してみて、これなら同じサイズの紙にペンで書いてもやれることはあまり変わらないなと思った。
単にホワイトボードであればどんな大きさでもよいというわけではなく、その広さも重要であるようだ。

ちなみに、付箋の場合は敢えて大きさを限定し、枚数を多く使うことで、思考を細かく分けているところがポイントなのだと思う。

3)皆の意識・視点を集中させ、会議に一体感が生まれる

配付資料だけの会議であれば、皆は下を向いて資料を確認しながら、発言者の言葉だけを耳で聞くことになる。
これでは会議の一体感も生まれないし、皆の理解度もよくわからない。

ホワイトボードを用いて議論すれば、参加者全員がホワイトボードを見ることになる。
参加者の視線は一点に集まり、いまメンバーが何の話題についてどういう議論をしているかを全員がより理解することができる。

プロジェクターにも同じ効果がある。
ちなみに筆者は、セミナーによっては配付資料を配らないことがある。
これは参加者に下ではなく前を向いて一体感をもってセミナーを受講して欲しいからだ。

配付資料とにらめっこするだけなら、メールで資料を送って個別に見てもらえば用は足りるのだから。

4)意見と個人を切り離すことができる

ホワイトボードに書くことは、意見そのものと、発言した個人を切り離すことにつながる。
会話でのやりとりだと、どうしても「誰が発言したか」が気になり、合理的な判断ができなくなってしまいがちだ。

あの上司の言うことは基本反対!というような態度の人も、ホワイトボードに書かれた「意見そのもの」に関しては冷静に考えることができる。
また、参加者が自分の意見を客観的に眺めることができるという点でもメリットがある。

5)プロジェクター+ホワイトボードの活用

プロジェクターの画像を、スクリーンや壁面ではなくホワイトボードに投影する方法も便利だ。
特に資料のレビューなどで効力を発揮する。

ホワイトボード上に修正事項を書き込めるので修正が早くすすむ。
印刷資料の配布と比較して、修正指示の抜けや漏れ、指示の誤解が減る。

6)姿勢の重要性

テーブルの上に置くタイプのホワイトボードを試したことがあるが、自立式のホワイトボードほど「議論が進んでいる感」を得ることができなかった。
もしかしたら、立って書くという姿勢そのものに秘密があるのかもしれないと思っている。

立ち上がることで血流が良くなり、頭脳が活性化するのだろうか?
ちなみに当社には立って打ち合わせができるテーブルも設置している。

番外)議論のコントロール

板書担当者は、ホワイトボードに「何を書くか」「何を書かないか」を調整することで、議論を一定の方向に誘導することもできる。
悪意をもってこのような行為をやる方もいるので、騙されないように気をつけて欲しい。

知人社長いわく、「ホワイトボードを使えば議論を支配することができる」そうだ。
通常、板書担当は経験の浅い社員にさせることが多いが、あなたの会社の会議はそのせいで議論がまとまらないのではないだろうか。

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