新しいもの、こと、時代について声高に主張する人は、
疑いの目で見るようにしている。

わたし個人は新しもの好きで、新製品もすぐに手に入れるタイプではある。
先日もVRヘッドセットの「Oculus Go」を買ってしまった。(これは余談)

「これからの時代はこうなる!」
「規制緩和は善!」
「これが新しい働き方だ!」

などと周囲を煽る人は、誰かの言うことをオウムのようにリピートしているか、
もしくはその流れで「売りつけたいモノやサービス」があるかのどちらかだろう。

変化はもちろんある。
ただ、全てが変化するわけではない、ということ。
副作用だって考えないといけない。

変化がもたらす副作用の例をひとつ挙げる。

フランスでは民泊の流行で、ホテルの廃業が相次ぎ、
立地のよいアパートの賃貸人が民泊転用のために
追い出される事態が発生しているそうだ。

日本の民泊規制が厳しいという批判があるが、
フランスのひどい状況を見るに、これはこれでひとつのやり方だと思う。

言われるほどフリーランスは多くない

なんでこんな話をするかというと、
ウォールストリートジャーナル(WSJ)の記事を見たからだ。

「ギグエコノミーの台頭は誇張だったのか」(有料記事)

ギグエコノミーは、シェア経済とも言われる。
アメリカ労働省労働統計局の調査によれば、
米国の労働者の90%以上が典型的な職、
つまり企業に雇われて働いている。
この状況は、2005年からほとんど変わっていないとのことだ。

 
「こうしたデータはフリーランスの急増、
仕事の性質の急激な変化を誇張してきた
人々に冷や水を浴びせるものだ」と、
シンクタンク米経済政策研究所(EPI)の
リベラル派エコノミスト、
ローレンス・ミッシェル氏は指摘する。
「典型的な雇用形態がフリーランスと
一時的な仕事に取って代わられている
わけではない」

記事中にもあったが、ギグエコノミーを活用して
副業で小遣いを稼いでいる人は増えた。
ただ、本業にしている人は思いのほか少ないということ。

予言は的中しなかった

昔、「フリーエージェント社会の到来」という本を読み、
自営業になることを決めた。組織に雇われずに働こうと思ったのだ。

あれから10年弱、結局は法人化し、人を雇い、
自分が組織を創ってしまった。
もはやフリーランスとは言えない。

この本が予言したような、
ほとんどの人がフリーランスになる社会は到来していない。
人は思ったよりも保守的で、
著者であるダニエル・ピンクの予言は当たらなかったようだ。

「自由」と「安定」が両立できるなら

フリーランスは自由だけど不安定だ。
自分で経験したので、心からそう思う。

そして、ほとんどの人は、自由と不安定に
耐えられるほど強くはない。

最近はむしろ企業の方が歩み寄りを見せて、
良質な従業員を確保するために
ある程度自由な職場を構築しつつある。
政府もそれを後押ししている。
(在宅勤務、副業解禁や介護休暇など)

「自由」かつ「安定」した企業勤めが実現できるのなら、
あえて不安定なフリーランスを選択する
必要はなくなるのではないか?

日本の数年先を行っているとよく語られるアメリカでさえ、
9割の人は企業勤めでその比率もこの10年変化がないのであれば、
日本もきっと、数年たっても状況は今と変わらないだろう。