究極の組織は存在しない。

これは実際にあった話。
ある子会社が経営不振に陥った。
親会社は、大手企業の幹部をヘッドハントして
その子会社の社長に据えた。

大手企業は自由な社風で知られる
誰もが知っている有名な企業。

着任後、社長は
「役職名で呼ぶのを辞め、さんづけで呼び合う」
ことを社員に命じた。
これまでは、上司を「米倉部長」と
呼んでいたのを、「米倉さん」と
呼ぶように変えたということだ。

これは社長の出身である企業の文化で、
さんづけで呼び合うことで上司と部下の
垣根が取り払われ、いわゆるフラットな組織
になるだろうと期待して行われた施策だ。

それから数ヶ月で、組織はダメになった。

なぜ「さんづけ」は上手くいかなかったのか

なぜか?
役職名でなくさんづけにすることで、
部下が上司を尊敬しなくなるという
事態が発生したのだ。

組織は悪い意味でフラットになり、
以前よりも業務効率は大幅に低下した。

社長が以前在籍していた大手企業では
うまく機能した仕組みだったけれど、
地方の100名足らずの中小企業では
逆の効果となってしまった。

これだけが原因ではないものの、
わずか1年で社長は退任、親会社から
新たな社長がやってきて、従来の
「役職で呼び合う」会社に戻った。

究極の組織は存在しない

どんな規模・業種にも当てはまる
「究極の組織」は存在しない。

フラットな組織が理想かというと、
「状況による」としか言えない。

官僚組織が縦割りで階層構造なのには、
長い歴史のなかでそれがある程度
合理的だと思われてきたからそうなっているのだ。

これをいきなりフラットな組織に組み替えたら
組織は容易に崩壊するだろう。

メンバーと状況に合わせた最適化があるだけ

メンバーの性格や人間関係、
周囲の状況によって
最適な組織は変わる。

また、時間が経ち、状況が変われば
組織の理想形も変わってゆく。

明確な答えの無い分野だからこそ、
経営コンサルタントの領分なのだろう。

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