それは珍しいケースなのか、それとも

サイコロ、ダイス

クジラが浜に打ち上げられている。
これはめったにないことだ。
もしかして地震の予兆だろうか?
避難した方がいいのか?

珍しいケースではない

実は、クジラやイルカといった
海棲哺乳類の座礁は
さほど珍しいことではない。

国立科学博物館が製作している
「海棲哺乳類ストランディングデータベース」
というウェブサイトがある。
これを見ると、2018年の1月だけで国内で3回、
海棲哺乳類が浜に打ち上げられれている。

[blogcard url=”http://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/drift/index.php”]

クジラの座礁は「めったにないこと」ではなく、
「よくあることだが、皆知らないだけ」なのだ。

上記のデータベースの存在を知っていれば、
地震の前にクジラが座礁したケースよりも、
クジラが座礁した後に地震が起こらなかったケースの方が
はるかに多いことがわかるだろう。

つまり、クジラの座礁と地震の発生には
何の関係もない。

では、なぜ地震と関係があるように見えるのか?
これは後付けの論理で、地震が起こった後で
「何か変わったことはなかったか」
と、考えた結果、実は普段から発生している
クジラの座礁を「そういえば、あんなことが・・・」
と、地震と関連付けて考えてしまうから起きる現象だ。

ビジネスにおいても、同じ間違いが起こりうる

ビジネスにおいても同様の間違いは起こりうる。
後付けの論理で、本来は関係のないことを
出来事の予兆だと判断してしまう。

何か悪い出来事があった時に
「そういえば、嫌な予感がしていた」
と言っている人は、
実は嫌な予感は頻繁に発生しているけれど、
その後に何もなければ、嫌な予感自体を
忘れてしまうからそう思っているだけだ。
#予知夢についても、同じ理屈で説明できる。

人間は理由を欲しがるもので、
理由があれば安心する。

科学が発展していなかった昔は、
事故や天災の理由が欲しいあまりに
「妖怪」という架空の存在を
こしらえていたくらいだ。

「昔の人は無知だった」と、笑えるだろうか。
ビジネスにおいて、「妖怪」を
理由にしていないだろうか。

本来は科学的な思考が必要な
ビジネスという場面で、
昔ながらの「妖怪」に頼っていては、
いつか大きなトラブルを
引き起こすことになるだろう。

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