ことわざ、好きです。
状況にぴったりハマることわざを言えた時は、ついドヤ顔になってしまいますよね。
例えば、「三人寄れば文殊の知恵」だから、まずは集まって打ち合わせしようぜ!と言われたとしましょう。
ここで、「なるほど、そりゃそうだ」と思ってはいけません。
ことわざは行動の理由にならない
ちょっと考えれば、三人寄るといってもいいアイデア(文殊菩薩レベルの知恵)が出るかどうかは、集まるメンバーのレベルに左右されるし、まったく逆の意味のことわざ「船頭多くして船山に昇る」というものもあって、なんとでも反論できそうです。
このような逆の意味をもつことわざはいくつもあり、ちょっと考えただけでも:
「二度あることは三度ある」 <>「仏の顔も三度まで」
「一石二鳥」<>「二兎を追う者は一兎をも得ず」
いくらでも出てきそうですね。
ことわざは「説明を要約する」もの
ことわざというのは、あくまで「説明を要約する」ためのツールです。
例えば営業が同時に二つの商品のセールストークをしたとしましょう。
二つの商品の相乗効果を上手く説明でき、商談が成立、二つとも売れたら「一石二鳥」、
二つの商品の説明をすることで焦点がぼやけ、商談が不成立なら「二兎を追う者は一兎をも得ず」
と言えば、なんとなく状況を説明できた気になるのではないでしょうか。
でも、本当に必要なのは、なぜそのような結果をもたらしたのか、それをきちんと分析し次の商談に活かすことです。
ことわざでまとめてしまうと、その本当に重要なプロセスがなおざりになってしまいます。
「要約」に頼って、「説明そのもの」を省略するのは本末転倒ですよね。
ことわざを使うのは、いわば「思考の節約」です。何となくわかった気にはなれます。
しかし、ことわざに頼って状況の分析を怠ってしまうと、上手くいくかどうかは多分に運任せになってしまうでしょう。
面倒ではあります、でも、ことわざに逃げずにしっかりと考え、論理的に(その時点で最もベターな。ベストは無理、われわれは神ではない)結論を出すことが成功の要諦です。
経営コンサルタント(中小企業診断士)というのは、その面倒でややこしい意思決定のプロセスをお手伝いする仕事な訳です。