インプットとアウトプット、その間にあるもの

インプットとアウトプットは足りている。足りないのはプロセッシング(処理)だ。

インプット(入力)

自分の頭に情報を入れる行為。読書、ネット、人との対話など。
相変わらず月に40冊弱の本を読んでいるし、ネット上の情報も大量に読み込んでいる。
異業種、異文化のもの、業際的な知識が仕事のヒントになると考えているので、インプットのジャンルは幅広い。
また、人との対話に関してもかなり行っており(というか、それが仕事だ)、情報のインプットに関しては問題ないと言える。

アウトプット(出力)

入れた情報を外部に提供する行為。コンサルティング、セミナー、執筆など。
経営コンサルタント(中小企業診断士)という仕事柄、アウトプットの機会には恵まれている。
毎日のように経営者と議論するし、セミナーも月に数回、執筆に関してはこのブログもそうだし、月刊誌(福岡県中小企業団体中央会の会報)に連載もしている。
インプットした雑学的な情報(例:明治の一時期、佐賀県は存在しなかった)も、経営者との会話に役立っている。

プロセッシング(処理)

インプットとアウトプットが重要とは、いろいろな雑誌・ブログで言及されている。
インプットが足りなければアウトプットの質が落ちるし、アウトプットの機会が少なければ情報をインプットする意味がない。使わない情報は忘れてしまう。

それが重要なことに異論は無い。
ただ私は、インプットとアウトプットの間にプロセッシング(処理)という段階があると思っている。

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「インプットとアウトプットが重要」と言う人は、おそらくプロセッシングとアウトプットを一緒くたにして「アウトプット」と言っているのだろう。私はそこを単に分けて考えているだけだ。

プロセッシングとは、分析や統合、編集、創造を通じてインプットした情報を自分のオリジナルな知識に変換する行為だと考えている。
経営コンサルタントの仕事にはこのプロセッシングという行為が必須と言える。

本やネットで仕入れた知識をそのまま伝えるだけなら、経営コンサルタントの価値はないだろう。本を買ったりネットの記事を読んだ方が安上がりだ。

目の前の状況に合わせて情報を取捨選択、時には自分の新たな見解を付け加えるという「プロセッシング」の行為を高いレベルで行えるから、クライアントから高い報酬をもらえるのだ。

そして今、このプロセッシングにかける時間が少ないように感じる。仕事に追われているから、と言い訳をするのは簡単だが、中長期的に見ると提供するコンテンツの劣化に繋がる。意図的に時間を作るようにしなければならない。

ちなみに、インプットした情報をそのままアウトプットすることもある。SNSでのリツイートやシェアなどだ。
ひと言コメントを入れることもあるが、ここにはプロセッシング(処理)はほぼ存在しない。

検索に頼ると失われるもの

「スマホで検索すればすぐに情報が出てくるのだから、いちいち覚える必要はない。暗記するよりも考えることを重視しよう」という言説があって、私も一時期はそう思っていた。

しかし、材料(インプット)がなければ、たいした思考はできない。
そのことに気づいてからは、インプットを怠らないよう意識している。

その場その場で検索したら、なんとなく「わかった気」になってしまう。
「例外はないのか?」「今後も変化しないのか?」「他分野に活用できないのか」といった一段深い思考までたどり着けない。
しっかりと考えるには、一旦頭にその情報を詰めておいて、頭の中でこねくり回さなければいけないようだ。

情報を知識に変換するには、ましてやそれを「売り物」にしたいのならば、「熟成」の時間が必要だ。
ワインのように。

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