何を書かないかを考える

重要なことなのに、意識していない方が大変多いように思う。

経営コンサルタントとして、たとえば経営者や従業員が書いた事業計画のチェックを行う機会がよくある。
出てきた資料の半分は「書きすぎて」おり、もう半分は「書かなすぎて」いる。

後者は、私からいくつか質問をしながら文章に肉付けしていく。必要であればこちらで文章を作成する。

前者の修正は難しい。人間は自分が生み出したものに対する愛着があるからだ。それが無形の、文章のようなものとはいえ。

「何を書かないか」を意識せずに資料を作成すると、どうしても自分が知っていること、伝えたいことを全部資料に盛り込もうとしてしまう。

しかし、情報量が多すぎれば読み手は受け止めきれない。
また、情報の中には今の時点では知る必要がないこともあるだろう。
読み手の属性(管理職、お客様など)によっては知ってしまうと却って状況の理解が困難になるような情報もあるかもしれない。

資料を書く際、最初はこのことは気にせずに一気に書き上げてもいい。
ただ、資料作成後に「この情報はいま、読み手に開示する必要があるだろうか」ということをひとつずつ選別し、必要なければ大胆に削除することを検討する時間を持った方がよい。

自分が頑張って作った資料を削るのは辛い。私だってそうだ。
だけれども、この作業を経ることで資料のわかりやすさがワンランク上がる。

事業計画にせよ何にせよ、目的は「こちらの想いを理解してもらうこと」であって、
想いを全て伝える必要はないのだ。

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