払うか、取るか(損失回避)

レジ袋の有料化が環境問題の解決にどれほどの効果があるのかはわからないが、
人々の行動を変えたのは事実だろう。
私もマイバッグを持ち歩くようになった。

人々の行動を変えるためのアプローチとして「報酬を与える」と、「罰金を取る」の二種類がある。
レジ袋の有料化を「罰金」と言うのは少し違うけれど、追加のお金を取られると言う意味では一緒だ。

報酬を与えるとするなら、「マイバッグ持参で3円お渡しします」と言った制度になる。
ところがこのやり方はうまく行かないことがわかっている。
いくつかの米国の自治体でこのような制度が施行されたが、人々の行動は変わらなかった。

ところが罰金のアプローチ、「レジ袋必要なら3円いただきます」なら、人々の行動は変わるようだ。
この自治体も罰金アプローチに変えるとレジ袋の消費量は大幅に減ったそうだ。
日本でも同じように、レジ袋有料化により消費量が激減したと聞いている。

これは心理学で言うところの「損失回避」であり、人々は損をすることを過剰に嫌がる傾向にある。
この傾向を考慮すれば、報酬よりも罰金を用いたインセンティブの方が効果があるということになる。

企業が従業員に支払うボーナスなどの報酬もそうで、「目標を達成したらボーナスを渡す」よりも、予めボーナスを渡しておいて「目標を達成できなかったらボーナスを返金」の方が、損失回避の強い気持ちが作用し、従業員は頑張って働くのかもしれない。

もっとも、現行の法制度でそのような仕組みが認められるのかどうかはわからないけれど(おそらく無理なのでは)。

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