精神科医で作家でもある和田秀樹によれば、
認知心理学の視点からみた「頭のいい人」とは、以下の項目を満たす人だそうだ。
- 考える材料として知識を備えている
- さまざまなケースを想定しながらいくつものパターンの推論が行える
- 複数の選択肢の中から最も適切な推論を選ぶことができる
- 全体を振り返り、適切なモニタリングをする「メタ認知」ができる
料理にたとえて考えてみる。
1.はわかるだろう。材料がなければ何もできないからだ。
#ときおり「前提条件を取り払って、ゼロベースで考えよう」という主張があるが、
#知識を備えたコンサルタントが主張するからこそ意味がある。
#近所の学生を連れてきて、「さあ、ゼロベースで意見を行ってくれ」と言う人は居ない。
2.は、材料があるだけでは意味がないということだ。それらをどう調理するか。
自分が野菜炒めしかできないとしたら、どんなに食材が充実していても選択肢は一つになってしまう。
料理人であれば、同じ材料からでも無数の調理法が思い浮かぶだろう。
3.は、無数の調理法が思いついても、その中から適切な料理を選択する能力がなければ仕方がないということだ。
季節や時間帯、食事を提供する人の趣味、彼との関係性など、状況を考慮しながら、どの料理がこの状況に最も適しているかを考える。
2を飛ばして3を考えてはいけない。そうしてしまうと最初に思いついた選択肢を選んでしまい、最善手にたどり着かない可能性がある。
4.は1−3を振り返る行為だ。知識は十分にあるのか、選択肢は全て出し切ったか、感情に流され間違った選択をしていないか、最善手を選択したかを、一段上の視点から見下ろして検討する。
知識がなければ選択肢が思いつかない。
選択肢が少なければ見落としの可能性がある。
状況が理解できていなければ、最適な選択ができない。
そして、「自分はできている」という傲慢な心が、全体のプロセスを不十分なものにする。