「こだわり」はビジネスにおいてネガティブでしかない

「こだわり」という言葉はかつてネガティブな意味合いだった。

こだわ・る | デジタル大辞泉

ちょっとしたことを必要以上に気にする。
気持ちがとらわれる。拘泥する。
「些細なミスにこだわる」「形式にこだわる」

「物事に妥協せず、とことん追求する」といったポジティブな用法は近年になってできたようだ。

こだわりを捨てられない人

あなたが芸術家であるのなら、もしくは趣味でそれをやっているのなら、「こだわり」はポジティブな意味を持つ。
しかしビジネスとして考えたら、こだわりはネガティブな要素でしかない。

ちょっとしたことを必要以上に気にして、気持ちがそれに捕らわれていたら、ビジネスの目的を見失ってしまう。
ビジネスの目的は「継続的に利益をあげること」だ。どんなきれい事を言っても、継続した利益を出せなければビジネスを存続させることはできない。

二宮尊徳が言ったように、「道徳なき経済は罪悪、経済なき道徳は寝言」なのだ。
利益を考えない人は、寝言を言っている。
利益だけを考えている人は、罪を重ねている。

必要十分な量のこだわり

100%の商品ができるまで待っていたら、資金不足で倒産してしまう。
顧客が求めるレベルまででいいのだ。そのレベルまで「こだわれ」ば、それでいい。

もちろん例外もある。こだわりの一品でヒットした飲食店だってあるだろう。
ただしその飲食店は、こだわりを捨てれば、もしくは少しだけ抑えれば、もっと早い段階で利益を得られたかもしれないが。

こだわりをアピールする経営コンサルタント

経営コンサルタントに「こだわり」を感じたら要注意だ。
たとえば聞いてもいないのに「**業務は、同業者はやっていますが私はしません」と話してくる人とか。

クライアントが希望するなら、**業務も勉強すればいい。クライアントのために全力で努力するのが経営コンサルタントだ。
同業者がすでにやっているのなら、それを学ぶのはそんなに難しくないのでは。
自分がやらなくても、それをできる同業者に該当部分だけアウトソーシングするという方法だってある。

「やることとやらないことを決める」というのは否定はしない。選択と集中って奴だ。
ただ、やらないことをことさらアピールする必要はないだろう、「やらないこと」だって、誰かを紹介することはできるし、そこから「やれること」の依頼に繋がるかもしれないのだし。

こだわりをアピールする経営コンサルタント、彼はビジネスマンではなく芸術家なのだろう。
自分の作品を作る、つまり、いい仕事をすることが目的であり、
クライアントであるあなたの利益に反する行動を取る可能性すらある。

芸術家を雇うのだとしたら、料金も条件も変わってくるのでは?

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