この物語の結末は

「天皇・コロナ・ポピュリズム ー昭和史から見た現代日本」という書籍に、以下の記述があった。

「戦時中には軍と警察が恐しかったと言われているが、
私の実感としては隣り近所の人の眼の方が恐しかった」
(吉村昭『東京の戦争』筑摩書房、二〇〇一年、九五頁)
と言われる過剰同調・監視社会化が進んでいったのである。

筒井清忠. 天皇・コロナ・ポピュリズム ──昭和史から見る現代日本
(Japanese Edition) (Kindle の位置No.780-782). Kindle 版.

21世紀、戦争からはもう75年以上経った。でも、今もそうだ。
恐ろしいのは感染症や国家や警察ではない。
隣近所の、所属する組織の、お客様の、友人の、家族の「眼」が、人を恐怖させる。

この本には、戦時中に福岡のとある町が「パーマネント(パーマをかけた)女性は町内通行禁止」という看板を掲げていた写真が掲載されていた。
町内会で決まった事項だとして。そこでの議論は大体想像がつく、「周囲が不快」とか「子供に悪影響が」とか。

「眼」に従うことはあまりにも当然で、疑念すら持たれない。
それが悪いとも思わない。処世術として適切だし、眼に従わず自分の判断で生きることはとてもしんどいので、万人にはお勧めできない。

歴史は繰り返す、という名言は本当だった。
一度目は戦争というまごうことなき本当の悲劇だったが、二度目は、感染症対策という悲劇と喜劇が複雑に絡み合うわかりにくい舞台として。
今回のプロット、結末が見えないのが、本当に怖い。
もしかしたら誰も結末を考えてないのかもしれない、だとしたら、さらに怖い。

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