質的な変化(可能性の効果、確実性の効果)

間違った道、方向

当たれば100万円もらえるくじ引きがあるとしよう。当選確率はその店で購入した金額によって変わる。多くの買い物をすれば、それだけ当選確率が上がる。

あなたは、以下の4つのタイミングのどれで最も「うれしく」感じるだろうか。

A. 0%から5%に上昇する
B. 5%から10%に上昇する
C. 60%から65%に上昇する
D. 95%から100%に上昇する

最もうれしいのはDのタイミングだろう。なにせ100%の確率で100万円がもらえるのだから。
Aもうれしい。これまで確率ゼロだったのが5%と、少ないながらも100万円をもらえる可能性がでてくるからだ。
DやAと比較すると、BやCのタイミングではあまり嬉しくないのではないだろうか。

選択肢A,つまり確率が0%から5%に上昇する際、それまで存在しなかった可能性が存在するようになる。つまり「質」が変化するのだ。
Bの選択肢である5%から10%への変化は、あくまで「量」の変化に過ぎない。

Aの場合、つまりゼロからわずかでも可能性が出てくるとき、人間はこの可能性を数値よりも大きいと錯覚する。これを「可能性の効果」という。この場合は5%とわずかな確率なのに、可能性が出てきたことに過剰な期待を抱いてしまう。(宝くじを想像して欲しい)

Dの場合、つまり95%から100%への上昇も「質」を変化させる。これまではくじが当たらない確率がわずかながら残っていたのが、100%当たるようになるからだ。人間は、少しでも損をする確率を回避するためなら非合理な判断をしてしまうことがある。これは「確実性の効果」と呼ばれる。95%といえば「ほぼ確実」にくじに当たりそうではあるが、それを100%にするためになら多少のコストは厭わない。

可能性がゼロからわずかでも上昇するとき、また100%になるときは、人間が判断を間違えやすいタイミングであることに留意したい。

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