出世してね!

鹿児島出張から戻るときだったと思う。
忙しい時期で、乗車時間をフルに使って仕事をしなければ間に合わないなと考え、快適な作業環境を求めてグリーン席に座った。
通路を挟んだ隣には、すでに60代くらいの夫婦が座っていた。

夫婦は食事がまだらしく、電車が走り出してからすぐに、夫が「マスクを外して食事をするけどいいか」と聞いてきた。
私はもちろん快諾した。私も今からサンドイッチを食べる予定だった、感染対策についてはそれほどナーバスではないと。

夫婦は酒を飲みながら楽しく会話をし、食事をすすめた。
私はサンドイッチをホットコーヒーで流し込み、ノートPCを開き作業に集中した。

夫から日本酒を飲まないか?と勧められたが、仕事をしているので・・と断った。

彼らの目的地は熊本だったようで、私よりも早く降りた。
降り際にこう言われた。

「仕事お疲れさん、出世してね!」

一応社長だし、これ以上の出世は難しいと思うけどな・・・
曖昧な笑顔で会釈した。夫婦とはもう2度と会うこともないだろう。

「出世してね」と言われたのは本当に久しぶりだった。
士業の資格も取ったし、社長にもなった、昇進という意味での出世は難しいだろう。(会長になるとかか?)

ただ、社会的な意味での出世はできるなと、後から思い直した。
それは会社の知名度を上げることだったり、社員の待遇を良くすることだったり、取引先の成長に貢献することだったり。
その「出世」なら、まだまだやれることはありそうだ。

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