「米倉」、つまり私個人に仕事が来るのではなく、
「株式会社フロウシンク」に仕事が来るようにしたい。
この二つは似ているようで全然違う。
当社はもともと中小企業診断士の米倉が一人で始めたビジネスだ。
独立当初から屋号「フロウシンク」で活動していたが、スタッフは雇用しておらず、
一人ユニットだったのでフロウシンクとはすなわち米倉だった。
私が突然病気で倒れたら、それで事業は終了。
事業継続も何もあったものではない。
一人企業の限界
会社=個人なのは、良い面もある。代表・社長自身の個性をアピールすることで商売に繋げられるのは、
一人だからこその利点だ。
ただ一人企業ではいずれ限界が来る。
事業が拡大し、依頼が増え、それらに全て対応しようと思えば、
スタッフが、組織が、システムが必要になる。
依頼を断り、一人でできる範囲でやる、という選択肢もあった。
ただ自分には、自分を頼ってくる公的機関や中小企業を「いま忙しい」とはねつけることはできなかった。
性格上仕方が無い、選択肢はあるようで実はなかったのだ。
個人の色は出したくない
もともと私は個人の色をあまり出したくはなかった。
業務上、出さざるを得ない面は多々あるが、必要最小限に留めたかった。
会社名に「米倉」と自分の名前を入れなかったのはそれが理由の一つだし、
たとえば「米倉会」とか「米倉塾」などと、自分の名前を冠した会合や勉強会も一切やったことがない。
依頼があっても全部断るか、名称を変更してもらった。
「米倉に」ではなく、「米倉が作った仕組みに」依頼してほしい
法人化し、スタッフも増え、最近では米倉個人にではなく
「株式会社フロウシンク」に仕事の依頼が来るようになった。
業務範囲が広がり顧客数が増え、昔と違って、
業務の全てを自分で把握することもできなくなった。
そう、いま「米倉に」依頼したとしても、実際の業務は私一人ではなく、
「株式会社フロウシンク」内のスタッフが作業を細かく分割して
効率的に行っているのだ。
なかには私が一切関与していないプロセスもある。
そこに職人は居ない。工業的な「システム」がある。
「(中小企業診断士の)米倉に依頼したい」
そう言われるのは、独立して10年経った今でも、やはり嬉しい。
でも、数年後には、こう言ってもらえるようになりたい。
「米倉が作った「株式会社フロウシンク」という組織とそれを動かすシステムに依頼したい」
と。