江戸時代は庶民が自由な旅行をすることは禁じられていた(伊勢参りなどの例外はあったようだが)。
移動の自由を認めれば人口が都会に集中し、農村が成り立たなくなるから、そうしていたのかもしれない。
実際、明治維新以降に移動が「自由化」されると、都市への集中が進んだ。
個人的には過疎の問題は先延ばしはできるかもしれないが解決はしないと思っている。
私は九州の離島(もちろん過疎まっただ中だ)の出身なので、郷里が寂れていくのを見るのは辛い。
まあ、郷里を出た人間が言えた義理ではないけれど。
若者なら、一部の特殊な例をのぞき、誰だって、便利で、給料が高くて、出会いの確率が高い都会(ないしある程度の郊外)に住みたいだろう。
さて、21世紀の今日、「緊急事態宣言」の名の下に、移動の自由が再び制限されるとは予想外だった。(程度に違いはあるが)
県境をまたがる移動を自粛しろなんて、江戸時代以来なのでは?
現在は「不要不急の移動」の自粛だが、不要不急の定義があいまいな以上、政府のさじ加減でいくらでも拡大解釈が可能になりそうだ。
移動の自由がなければ、私は今頃実家で家業を継ぐか、漁師をしているか、町役場に勤めているかだったろう。
「移動」の自由、政府に言われたからといって、世間の目が厳しいからといって、簡単に手放していいものではないと思うのだが。