以前どこかで聞いた話。
あるところに、悪人が居た。
悪行の限りを尽くした彼がいよいよ死んだ。
彼は「おれは地獄に行くだろうな」と思いながら
最期のときを迎えた。
目が覚めると、彼はやわらかいベッドの上に寝ていた。
気温は快適で、ベッドの横には美味しそうなジュース、
鳥のさえずりも聞こえ、
傍らには執事が居て「何なりとお申し付けください」と。彼は考えた。
「あれ、おれは天国に来てしまったのか?」そこでの生活は快適で、
彼は何もしなくてよかった。
すべての雑事は執事が行ってくれたのだ。そうやって何年も過ぎた。
あるとき彼は「そろそろ何かしたい」と思い始めた。
人の役にたつことでもいい。自分の趣味でもいい。彼は執事に「そろそろ何かはじめようと思う」と伝えた。
すると執事は「いえ、あなたは何もしないでください、
ずっとこのままでいいのです。私が全てやります。」「いやいや、何かやりたいんだよ」
「だめです、何もしてはいけません」
「いやだよ、何もできないなんて、それじゃあまるで地獄じゃないか」
「・・・・あなたは、ここをどこだと思ってたのですか?」
そう、そこは地獄だったのだ。
「何もしないでいる」というのは、思いのほか辛い。
焦燥感に駆られるし、「自分は世のなかの役にたっていない」と陰鬱な気持ちになる。
動いたら、やる気が出る
モチベーションは、どこかから湧いてくるものではなく、
動いているうちに自然にやってくるものだ。
何もしないでいるよりマシだからと
時間つぶしの作業を行うことに意味はない。
「意味のある、価値のある作業」を見つけ、
それを行えば、モチベーションはやってくる。
待つのではなく、動いてみる。
何もしないでいるよりも、
無駄な、時間つぶしの作業をしているよりも、
その方がきっと楽しい。