孤独を楽しむ

経営者は孤独な存在だと言われる。
毎日のように意思決定を迫られ、その責任は全て自分で取らなければならない。

友人や他の経営者に相談したとしても、彼らが経営者に代わって何かを決めてくれるわけではない。
アドバイスはもらえるかもしれない、しかし、そのアドバイスが有効かどうかの判断は自分でしなければならない。

経営コンサルタントは、同伴者でも参謀でもない

中小企業診断士などの経営コンサルタントでも、経営者の孤独を癒やすことはできない。
コンサルタントができるのは、経営者が決断をするためのサポートであって、代わりに意思決定をしてくれるわけではない。

わたしたちは経営者の同伴者です!参謀です!とうたうコンサルタントの方は、信頼してもらうために敢えて誤認をさそっているのだろう。
顧問料が払えなくなった途端に居なくなる人たちを同伴者や参謀と呼称できるだろうか?

コンサルタントは、その「知識」なり「能力」なりを販売しているだけであり、経営者はそれを活用することしかできない。
彼らとは契約関係を結んでいるだけであり、あなたの事業がどうなっても共に戦う同伴者や参謀では無い。
なので、割り切って付き合うべきであり、過度に期待し依存したとすれば、経営者にとっても企業にとってもいい結果はもたらさない。

コンサルタントは責任を取ってくれない。いや、責任を取ることができない。
これは自分としてはもどかしい面もあるのだが、事実だ。

孤独と向き合い、楽しむ

まだ経営者になるなんて考えてもいなかった15年以上前、東京の美術館で「ジョルジョ・デ・キリコ」の一枚の絵に惹かれ、ポストカードを購入した。
以後、私の勤務机の前には必ずこの絵が貼られることになった。今は事務所のプリンタ近くに掲示している。

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当時、自分はなぜこの絵に惹かれたのか?
おそらく、絵が表現する「どうしようもない孤独」に共感したのだと思う。
強い日差し、無造作におかれた箱、遠くでひそひそ話をしている男たち、電車、石像・・・

見ていると気分が落ち込むかたも居るだろう。
私は違う。
「人生とはこのように孤独なもので、であればその孤独を楽しむしかない」と、私はこの絵から元気をもらう。

経営者の孤独を癒やす手段は存在しない。
しかし、人生とは本来そのように孤独なもので、経営者以外の人間も本質的には孤独であるものの、それを実感する機会が少ないだけではないだろうか。

どうやっても孤独であるのなら、それを楽しむしかないじゃないか。

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