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ユビキタスとIoT(Internet of Things)

IoTという用語はここ数年の「流行り言葉」だが、
同じような概念は昔から存在した。

総務省が2004年5月に公表した
「u-Japan戦略」では、
あらゆるものがいつでも、
どこでも、何でも、誰でも
ネットワークにつながる
「ユビキタスネットワーク社会」
を提唱していた。

これはIoTの概念と重複するように思う。

ユビキタスという言葉も
当時IoTのように新聞やテレビで
盛んに宣伝されていたので、
記憶に残っている方もいるかもしれない。

また、IoTという言葉自体は
1999年にケビン・アシュトンという
無線タグ技術者が初めて使ったと言われている。
IoTと似たような概念も用語自体も
10年以上前からあるもので、
IoTとは突然出てきたものではなく
既存の概念や技術の延長に過ぎない。

では、そんな昔からあるものが、
なぜいま「IoT」と呼ばれて話題になっているのか?
それには、技術の進歩と、価値観の変化という大きく二つの要因がある。

1)技術の進歩

10年以上前から、あらゆるモノが
ネットワークに繋がる社会は
構想されていたものの、
技術が求められるレベルまで
追いついていなかった。

当時「ネットに繋がる冷蔵庫」を
日本の大手電機メーカーが開発していたが、
売れたという話は聞かなかった。

しかし、現在ではIoT技術が実用的に
使えるレベルまで進歩し、
かつては「できたらいいな」だったことが
現実にできるようになっている。

スマートフォンが典型的だろう。
スマートフォンは電話に見えるが、
その本質は位置情報取得システム(GPS)と
高性能なデジカメを内蔵した超小型コンピューターである。
いろいろなIoTサービス、
特に一般消費者を相手としたものは、
消費者がスマートフォンを持っている
という前提で組み立てられている。

また、カメラやセンサーの性能も向上し、
これまでは測定が難しい、もしくは測定できたとしても
相当な手間と費用がかかっていたものが
今では容易に測定できるようになった。

データ分析もそうだ。
いくらデータを集めても分析に
時間や費用がかかりすぎて
意味がなかった小さなデータの断片が、
コンピューターの性能アップと
人工知能やビッグデータなどの
新技術を活用することで、
実用的に使えるデータ分析ができるようになった。

2)価値観の変化

もう一つの大きな要因は、人間の価値観の変化だ。
現代では、街中のいたるところに
防犯のための監視カメラが設置されている。
一昔前であればプライバシーの侵害だと
言われていたが、防犯という目的のため
ほとんどの住民は(意識的にか無意識的にかはともかく)
プライバシーの一部を敢えて放棄し、
この環境を受け入れている。

また、インターネット上の無料サービスは、
広告収入で成り立っている。
利用者はいわば自分の趣味嗜好などの
情報を企業に渡すことで無料サービスの
恩恵を受けているのだが、
これなどもプライバシーの一部を
自分から進んで放棄する行為だと言えるだろう。

もし、20年前に「あらゆるモノにセンサーをつけてネットと繋ぐ」などと
発言したとしたら、プライバシーに関して大きな議論が巻き起こったかもしれない。
以前と比較してプライバシーに関するとらえ方は
柔軟かつ実利的になってきており、
それがIoT技術導入の社会的なハードルを下げた面がある。

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