あれば助かるが、それを使うことはない

こういう事件も起きるかもしれないね、とは思ってました。

◎平成30年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の応募事業者情報の不正流用について

ものづくり補助金事務局の嘱託職員が、内部のシステムにアクセス、不採択者の一覧を見て、「次回申請の時は私が支援しますよ」と売り込みをかけたようです。
もちろん処罰されました。処罰の内容とその後の再発防止策についても、上記のURLに書かれています。

しかし、なぜメールなんていう証拠の残るもので連絡を取ったのでしょうか。
中小企業の社長が事務局に問い合わせた一発で露見するでしょうに・・・・・

嘱託職員は中小企業診断士であることも多く、
もしかしたら同業者がやったのかもしれないと思うと、
その倫理意識の希薄さに同じ資格を持つものとして嘆かわしく思います。

あれば助かるが、それを使うことはない

こつこつ情報発信し、パートナー企業を増やし、
セミナー等を行い顧客を開拓している当社からすれば、
「不採択者の一覧」が入手できたらとても価値のある情報です。

とはいえ、仮にそのような情報が得られたとしても、それを使うことはないでしょう。
倫理的に許されません。ビジネスだからって何でもしていいってわけじゃないです。

もう何年も前の話ですが、ものづくり補助金が現行の制度になる前、2009年前後に、某県で嘱託職員をしていたことがあります。都道府県は異なるでしょうが、今回処罰された方と同じ立場です。
採択された中小企業に訪問し、報告書作成のアドバイスをするのが主な仕事でした。嘱託職員4人で担当を分け、県内の中小企業を回っていました。

そのとき担当になった10社前後の企業には、嘱託契約が終わった後には一切アプローチをしてません。
当時は独立したてで仕事も少なく、どんな人脈でも活用したいと渇望していましたが、
だからといって公的な業務で得た企業情報を使って個人の営業活動を行うのは、倫理的におかしいと思ったからです。
というか、それが当たり前だと思っていました。

それからさらに数年後、やはり某県からものづくり補助金の事務局に嘱託職員として勤務しないかというお誘いを受けました。
私は依頼された仕事を断ることはほとんどないのですが、こればかりは即座に固辞しました。
当時すでに中小企業に対してものづくり補助金の支援を行っており、嘱託職員として「内側」の人間になってしまえば当然その業務はできなくなると考えたからです。

今回処罰された嘱託職員が中小企業診断士だったかどうかはわかりませんが、少なくとも彼にはそういった規範意識はなかったのでしょう。
もっとも、倫理よりも先に契約違反だと思いますけどね。嘱託職員を拝命する際に交わした契約書の文言はちゃんと読んで理解していたのでしょうか?

関連記事

  1. 認定支援機関制度に更新制が導入されます。中小企業への影響は

  2. 2023年サプライチェーン補助金概要

  3. 2018年中小企業関連予算詳細(2) 〜持続化補助金

  4. よくわかる持続化補助金(7) 様式2と様式3に書く内容の違い

  5. サプライチェーン対策のための国内投資促進事業

  6. 先端設備等導入計画が利用可能な自治体の一覧

最近の記事

  1. 2024.03.11

    早めの桜
  2. 2024.03.06

    雑用のすべて

読書記録(ブクログ)