前回の記事に引き続き、
今回は「事業類型」について説明します。
事業類型(1)企業間データ活用型
この事業類型に限り、必ず「複数の会社」で
共同申請を行う必要があります。
企業間でデータを活用し、新たな付加価値、
生産性の向上といった取り組みを行うことが条件です。
たとえば、ある企業Aが持つデータをBに提供し、Bはそれを活用して
新しいビジネスを始める。
他にも、別業界の企業CとDがそれぞれデータを持ち寄って
相互利用することで生産性を向上せる、といった取り組みが考えられます。
高い補助率
この事業類型は補助率が一律3分の2です。
つまり、1,500万円以上の設備投資を行えば、
1,000万円の補助金がもらえるということです。
最大10社での共同申請が可能です。
10社で共同申請すれば、それぞれの会社が上限1千万円の
補助金をもらえるわけなので、合計で最大1億円となります。
ボーナスも?
企業間データ活用型に限り、上限が1千万ではなく、
+200万円の1,200万円となります。
そして、その追加の200万円分は、企業間で
任意に配分可能です。たとえば、5社で申請して、
A社=基本1,000万+200万×5=2,000万円
B〜E社=1,000万円のみ
といった使い方も可能です。
オールオアナッシングのリスク
いろいろな特典が付く「企業間データ活用型」。
これは、企業間でデータを活用して、生産性を上げて欲しいという
政府の要望が反映されていると言えそうです。
しかし、共同申請にはリスクもあります。
ひとつは、共同申請の場合、「全員採択」あるいは「全員不採択」
のどちらかの結果しかないということ。
5社が共同申請すれば、5社全員採択、もしくは全員不採択です。
いっぽう、5社がそれぞれ個別に申請すれば、A、B社は不採択だが、
C〜E社は採択といった「部分採択」の可能性が出てきます。
オールオアナッシングのリスクと、
200万円×申請企業分のメリットを秤にかけて
どう判断するかでしょう。
船頭多くして、船、山に昇る
共同申請の場合、各社間の調整が必要になります。
申請する企業の数が増えるほど、その調整は複雑になり
時間も手間もかかるでしょう。
9月10日までの短期間のスケジュールで、
その調整がうまくやれるか。
共同申請といっても、せいぜい2社程度でやるのが
現実的ではないでしょうか。
#ちなみに、申請書は全社分別々に作成する必要があります。
一次募集の結果を見ても、
企業間データ型で採択された企業は少なかったようです。
大半の企業は、次回の記事で説明する「一般型」もしくは「小規模型」
の事業類型を選択していると思われます。
(つづく)