中小企業診断士ならみんな知っているフレームワークに「アンゾフの成長マトリクス」というのがある。
これは、「既存市場」<->「新規市場」を縦軸に、「既存商品・サービス」<->「新規商品・サービス」を横軸にした2×2のマトリクスで、企業の取るべき戦略をざっくりと示すものだ。議論の入口としては便利な手法である。
マーケティングの大家、フィリップ・コトラーが書いた「プロフェッショナル・マーケティング」という本がある。
士業などの専門家(プロフェッショナル)のためのマーケティングについての書籍だ。
ここには、「サービス・市場機会マトリクス」という名称で、アンゾフの成長マトリクスの縦軸に「地域拡大」、横軸に「サービス改善」を加えた3×3に拡張した
フレームワークが紹介されている。
以前も書いたように、フレームワークというのは複雑な世界を恣意的に切り取るための方便にすぎない。
既存のものが自分が置かれている状況にフィットしないのであれば、積極的に改変しても構わない。
状況によっては、「アンゾフの成長マトリクス」よりもこの「サービス・市場機会マトリクス」の方が有益なこともあるだろう。
フレームワークを本当の意味で使いこなす
フレームワークを大量に記憶し、使いこなすことは経営コンサルタントとして必須のスキルと言える。
もっとも、フレームワークなんて今日び普通のビジネス書にも乗っている一般的な知識だし、
間違ったフレームワークの適用は悲惨な事態すら引き起こしかねない。
本当に大事なのは、多数のフレームワークのなかから最適なものを選択する力量と、
既存の概念を現実に合わせて自在に拡張できる柔軟性のある思考だろう。