人を説得するには、統計よりもエピソード

注目、子ども

統計は便利なツールではあるけれど、人を説得する方法として最適なわけではないようだ。

「被験者は全体から個を推論することには不熱心だが、まさにそれと釣り合うように、個から全体を推論することには熱心である」
ファスト&スロー ダニエル・カーネマン著

全体から個を推論(統計)

上記の引用で言う「全体から個を推論」というのが統計だ。
データ全体を集め、そこから個々の行動を推測する。
人間の行動や物事の変化というのは、変わったことはそれほど起きない。
過去のデータ、全体のデータからある程度は推測できることが多い。

もちろん、統計で予測できない変化が突然起きる可能性はある(ブラック・スワンと呼ばれる)。
だからこそ人生は面白い、と言える。

ただしブラック・スワンは滅多に起きない。全体から個を推論し行動すれば、たいていの場合は上手くいく。

統計は強力なツールだ。しかし、人間を説得する際には、統計を見せるよりももっと効果的な方法がある。
それはエピソードだ。

個から全体を推論(エピソード)

「個から全体を推論」というのは、エピソード(逸話)から全体の傾向を推測することを意味する。

  • **社に勤める知り合いは**な性格だ。あの会社の社風なのだろう。
  • 強く願っていたら成功した。やはり引き寄せの法則はあるのだ。
  • みんなこう思っているに違いない。なぜなら、(普通の人である)わたしがそう思っているのだから

本当は、ひとつのエピソードから全体を推測することはできない。
エピソードはあくまで個のケースであって、全体を表すものではないからだ。
しかし人は無味乾燥なデータを見せられるよりも、臨場感のあるエピソードをより信じる。

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会社に、商品・サービスに、エピソードを作る

会社の売上や利益、商品・サービスの販売個数などを宣伝に使うこともいいが、それよりもエピソードを用意した方が購入に繋がる。
健康食品のCMでは大量の一般人が体験談を語ることは、エピソードが販促に効果的なのを表している。

あなたの会社に、商品・サービスに、人の心を動かすエピソードはあるだろうか?

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