飛び込み営業はできないから

経営コンサルタントというのは、売り込み方が難しい。
営業活動は限られる。飛び込み営業はもってのほかだ。
突然訪問したスーツ姿の男に「社長、経営で困ってませんか」
「事業計画作りませんか?」「補助金申請しませんか?」
で、「おお、ちょうど困ってたんだ、ぜひ話を聞きたい」
と、仕事が取れるとは思えない。
あまりしつこいと、水をかけられるか、塩をまかれそうだ。

飛び込み営業FAXの反応はいかばかりか

同じような内容のFAX、つまり、見知らぬ業者からの飛び込み営業のような内容のそれが届くことがある。
知人の社長にも同じFAXが届いていた。聞けば、いろいろな企業から似たような内容のFAXが届いて辟易していると言う。
反応率はどれくらいなのだろう?一度業者に聞いてみたいものだ。

営業力に自信はない

筆者はずっとSEをしていて、そのまま経営コンサルになった。
営業職の経験がないので、営業活動は正直ヘタだと自覚している。
飛び込み営業をすれば1,000件訪問して1件も仕事を受注できない自信がある。
そもそも50件くらい訪問した時点で疲れて、近くの公園のブランコで空を眺めながら終業までの時間を過ごすと思う。

とはいえ、仕事を取ってこないと、生きていけない。
どんなに高邁な理想を掲げても、喰っていけないなら単なるドリーマーだ。

法人からの紹介に注力

だから自分は、人から紹介してもらうことに注力した。
それも個人ではなく、法人からの紹介だ。
個人からの紹介を指向するなら、異業種交流会への参加というのが定番コースだろうが、
そうではなく法人をターゲットにした。

紹介しやすいようにHPを作り、毎日ブログを更新し自分の強みをアピールし、
紹介者が当社の話を顧客に持って行きやすいよう、デザインされたチラシを用意した。
自分のことを忘れられないように、毎週一度、役に立つ(と自分がおもっている)メールを送信した。
紹介者に喜んでもらえるよう、無償でのセミナーを企画した。

面倒だからやらない

このような取り組みは、経営やマーケティングの本なら必ず書かれているようなものだ。
でも、やる人は少ない。なぜか?単に面倒だからだ。
実際、かなり面倒だ。何度も辞めたいと思った。
誰だってラクして売上を確保したいだろう。私もそうだ。他に方法があれば教えて欲しい。

効果は如実に現れた

何年かかかったが、その成果は如実に現れた。
当社は地方都市福岡のスタッフ10人にも満たない企業ではあるが、
名前は出せないものの誰でも知っている大手企業から直接依頼をいただいている。
依頼も福岡だけでなく、沖縄から東北まで、日本全国の企業の案件を受注している。
メーカー、商社、金融機関、保険会社など業種も様々で、大事なお客様を当社に紹介していただいている。

ドラッカーは、「マーケティングの究極は、セリング(営業)を無くすこと」だと言った。
当社は営業をやっていない、不得意分野だから、そこに力を入れてもバリバリの営業会社には勝てない。
代わりに、相対的に得意な、マーケティングをやっている。こちらならなんとか戦えそうだと思ったから。

営業を一切しなくても、向こうから依頼が舞い込むのが理想だ。
もっとも、そこに至るにはまだ時間がかかりそうだけれど。

関連記事

  1. 賃上げ

  2. 他社の失敗から学ぶ〜ベンチャー企業の経営危機データベース

  3. 意義の薄れる「前年比比較」

  4. 悪い戦略の四つの特徴

  5. サーフェス(上っ面)

  6. アイデア出しは正方形のポストイットで

最近の記事

  1. 2024.03.28

    勉強グセ

読書記録(ブクログ)