常に自由な立場で(代理店にならない理由)〜Revise

(この記事は、独立当初に投稿したものを若干リライトしたものです。気持ちは今も変わっていませんし、どこかの代理店にもなっていません)

フリーランスで経営コンサルタントをやっていると、いろいろな話を持ちかけられます。

なかには、考えるだけでワクワクするようなプロジェクトへの参画依頼だったりして、「ああ、フリーランスでよかった」と思うことしきりなのですが、もちろんそればかりではありません。

「代理店になってくれませんか?」という勧誘があります。
たとえば、保険だったり、パソコンソフトだったり、なにがしかのサービスだったり。
実際にそれらの代理店になっているコンサルタントや税理士の方々もいると思います。

私はそれらのお誘いは必ず断るようにしています。

よい保険、ソフト、サービスであれば、クライアントに紹介するのはまったく問題ないし、むしろ積極的に紹介します。
ただ、その際も手数料は一切いただかないようにしています。

なぜか?私は、それがコンサルタントとして生きていく上での、僕なりの矜持だと思うからです。

仮に私がソフトウェア会社A社が制作した販売管理システムBの代理店になったとしましょう。
あるとき、クライアントから販売管理システムの導入を依頼されたとします。
私は、世にたくさんある販売管理システムの中からクライアントに最適なものを選び、導入を支援することになります。

調査の結果、A社のシステムBと、全く別の会社が作ったCというシステムが最終候補に残りました。

さらに詳細な機能分析を行うと、ほんのわずかではありますがCの方がクライアントに適しているようです。
さて、Bを導入した場合、私には購入金額の数パーセントが代理店手数料として支払われます。
Cの場合はゼロ円です。
この状況で、僕は果たしてCを選択しクライアントに提案することができるでしょうか?
私には、自分の便益を無視して最適な選択を行う自信がありません。

逆に、CよりもBの方が若干優れていて、代理店手数料は関係なしにBを提案したとしましょう。
クライアントが、私がB社の代理店であり、Bを導入したら僕には手数料が支払われると知ったとき、果たして私の提案を全面的に信頼してくれるでしょうか?
このコンサルタントは、手数料をもらえるからBを提案しているのではないかと疑わないでしょうか?
私なら、そのような業者は信頼しません。

経営コンサルタントは、クライアントである企業経営者がベター、できればベストな選択を行うため(常にベストの提案ができると言うほど傲慢にはなれません)に必要な情報を提供する「代理人」であって、それ以外のどんな組織の代理人でもありたくないのです。

もちろん、価値観は人それぞれですので、別に代理店になっているコンサルタントの人がどうこうといってる訳ではありません。
特定の企業と密につながることで提供できるサービスというのは確かにあるし、結果としてクライアントが満足するのであれば問題はないでしょう。

これはあくまで、私の「原則」です。それぞれの人がそれぞれの「原則」を持っているのでしょう。
経営者をしていると、何でも自分で決めることができます。自分よりも上位に「原則」を置かないと、事業から一貫性が失われてしまう。
「原則」は、経営理念といったり、ビジョンと言ったりするのかもしれません。

自分で事業をしているのだから、「原則」は曲げずにこれからもやっていきます。

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