引き出しの多さ、深さ、取り出しやすさ

自分の強みってなんだろう?

福岡県内で活動している中小企業診断士は、ざっと100人くらいだろうか。診断士でない、一般の経営コンサルタントを含めれば、その数は千人を超えると思われる。

その中から、当社を選んで仕事を依頼してくれる民間企業や公的機関、金融機関がある。本当にありがたいことだと思う。

先日も某商工会から依頼があり、福岡市近郊に出かけた。相談に来た経営者は、何かをやりたいという希望はあるものの、手持ちのカードをどう活用すればいいかわからない状態だった。
経営者者の話を聴き、内容を整理し、筆者が知っている、いろいろな業界の事例を話し、最近の話題も加えながら議論していくうちに、彼のやりたいことが明確になった。
商工会の職員は「米倉さんは引き出しが多いから、悩んでいる経営者に対して何らかの方向性を出せると思った」から、私を専門家として招聘してくれた、と言った。

確かに、ジャンル問わず大量の本を読むし、いろいろなIT機器やサービスもまずは使ってみる。好奇心は旺盛な方だと思う。
結果として、いろいろな業界のいろいろな話題に対応できるのだろう。
引き出しの多さには自信がある・・というと偉そうで嫌だが、「どんなボール(話題)を投げても拾ってくれる」とはよく言われる。

ただ引き出しが多いだけでは、単なる物知りだ。役には立たないだろう。
それぞれの引き出しの「深さ」も必要だ。
浅い知識を披露するだけでは、日々命がけで働いている経営者の心を動かすことなどできない。
引き出しを深くするためには、情報を単に記憶するだけでなく、それぞれの情報の持つ意味を考え、再構成した上で引き出し毎のつながりを整理し収納する必要がある。

「取り出しやすさ」も大事だ。関連する話題の「引き出し」をさっと開けて、相手に理解できる形で中身を見せる能力。
その場で即興の対応が求められるコンサルティングの現場では、この能力がいちばん重要かもしれない。

引き出しの多さだけを誇っても意味がない。なぜなら、知識量ではインターネットに決して勝てないのだから。
でも、「深さ」「取り出しやすさ」をかけ算するのであれば、AI時代が来たとしても経営コンサルタントという仕事は無くならないのではないか。

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