コンサル会社の「限界利益」

コンサル会社を経営していると、他業界の社長から「いいですね、原価ゼロでしょう?」と言われることがある。
商品を仕入れしているわけではないし、自社で何か製造しているわけでもない。確かに原価はゼロだ。

とはいえ、「坊主丸儲け」のようにはならない。
経営コンサルタントの業務は労働集約的で、「高級文房具」とも揶揄されるくらいだ。
文房具なら使ってナンボ、動かなければお金がもらえない。人間が動けば、お金がかかる。

少しでも作業を効率化しようと思えばIT投資が必須で、こちらもなかなか金食い虫だ。
最新の知識を得るためには書籍の購入や高額なセミナーへの参加も必要だ。
情報も役に立つものはタダではない。ネットで得られる情報だけではクライアントに価値を提供することなんてできない。

一人だけで事業を行い、新しい知識を入れることなく、過去の蓄積のみで食べていけば利益率が高いだろうが、継続性は心許ない。
過去の知識はいずれ陳腐化するし、自分が病気になれば終わり、というのではそれは事業ではなくその辺の家族でやってる商店と変わらない。

原価はゼロかもしれないが、家賃や人件費などの固定費を考慮して算出する「限界利益」は思いのほか低い。
(一人で細々ではなく)きちんと事業としてやろうとすれば、正直割の良い商売ではないと思う。

誰かから「儲かってるでしょう」と言われるたびに「そんなことないけどなあ・・・」と苦笑してしまう。

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