「アジャイルソフトウェア開発宣言」というものがある。
IT業界における現代のソフトウェア開発の理念というべきもので、業界では広く知られている。
そして、この考え方はソフトウェア開発のみならず、様々な組織の様々なプロジェクトでも活用できる。
もちろん、中小企業の経営にも。
内容はこれだけ。
- プロセスやツールよりも、個人と対話を
- 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に従うことよりも変化への対応を
左側の項目が重要でないと言っているわけではない。
右側の方がより重要だという主張だ。
プロセスやツールを整備することは大事だが、それに縛られてはいけない。
個人間の対話からより良いプロセスやツールが見つかることもある。
なにより、それは手段であって目的ではない。
ドキュメント(マニュアルと言い換えてもいい)も大事だが、いくら整備されたマニュアルがあっても運用できなければ意味がない。
しっかりと整備され装丁されたマニュアルがあるけれど、1年以上更新されていないなんてのはよく聞く話で、
結局は現場の工夫(動くソフトウェア)で回している。
仕事は動的で、常に変化している。静的なスナップショットでしかないマニュアルでは限界がある。
「マニュアルに書かれてないからやらない」なんてのは、手段と目的が転倒している。
契約交渉は大事だが、そこに注力しすぎると顧客との対立を誘発してしまう。顧客と協調し、相互にメリットがあると感じられる方向に持っていくことが重要だ。
「敵」は他の場所にいるはずだ。
計画に従うことは大事だが、計画を守ることに固執して変化に対応しないのは悪手だろう。
どんなにすばらしい理論でも、現実に合わなければ、それは修正されるべきだ。
#現実の「計測」がただしければ、という条件付きだが。
アジャイルとは、日本語に直すと「すばしこい、敏捷な、身軽な、賢い、活発な」という意味だ。
これはまさに、中小企業に求められる要素に違いない。